NintendoSwitchで2018年7月13日に発売されたRPG、オクトパストラベラー(OCTOPATH TRAVELER)をクリアしました。8人のメインストーリーをクリアするのに約43時間、裏ボスまで含めると約51時間ほど。サブストーリーは全部はやっていません。
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どんなゲーム?
ドット絵をベースに古き良きRPGを彷彿とさせるファンタジーRPGです。オクトパス(タコ=8本足)という名前の通り、8人のキャラクターの物語を軸に展開していきます。
ストーリー展開はまさに王道といったもので、レトロな雰囲気が好きで、王道の物語を楽しみたい人なら満足できると思います。8人それぞれに物語があって、全4章x8人分のストーリーが味わえます。1章あたりだいたい40分~1時間程度で消化できます。王道の良さ、ベタな展開にもそれなりの良さがあるのだな、と本作で感じました。
序盤はつまらない…が、徐々に面白くなっていく魅力がある。
ただ、最初にプレイした印象としては、序盤はあまりのめり込めませんでした。グラフィックも思った以上に今風の洗練された3Dドットなので、「FF6」や「ドラクエV」みたいな古き良きRPGって雰囲気はそこまで感じませんでした(レトロ調だとは思う)。最初のストーリーは8人のキャラクターそれぞれの旅立ちの物語なのですが、展開が読めてしまうためダレてしまいました。敵が固すぎる上にエンカウント率も高めに設定されているため、テンポが悪いです。弱点をつくことが前提なので、物理は弱く、魔法が強いため後半は全体攻撃アビリティを連発するゲームになっています。
序盤を乗り越え、中盤に入って8人の物語の続きが気になってくるようになると徐々に面白くなってきます。ただ、本作を快適に進めるのに欠かせないジョブの転職システムがチュートリアルに入っていないのがちょっと不親切(こうした不便さも古き良きRPG?)。本作は各キャラクターにジョブが設定されており、その違いでバトルの戦略がガラッと変わります。そして、そのジョブを変更するためには世界中に散らばっている各職業の神が祀られている祠に行く必要があります。これを知っているかどうかは大きくバトルの戦略や快適性に繋がるので、チュートリアルに入れてもよかったのでは…と思います。
フィールドコマンドが面白い!序盤から終盤の街に行って盗むを繰り返すのが最も楽しかった。
本作の最大の特徴はフィールドコマンド。これは街の人たちを対象に喧嘩を売ったり、物を盗んだり、話を聞き出したりとちょっかいを出すことができるコマンドです。プレイヤーキャラのサイラスの「さぐる」やオーフェンの「聞き出す」を使うことで街の人一人一人に年齢や背景が設定されていて、まさにRPGを体験している感覚を得ることができます。プレイした当初は街の人全員に話しかけられないじゃん!って思っていましたが、一人あたり様々なパラメーターが設定されているので、なるほど、ちょっかいできるから話しかけられる人が限定されているのか、と納得できました。
Switch版では学者のエンカウント半減のアビリティをつけて、レベルが低い段階で終盤の街に行くことも可能です。そのため、終盤の街にいる人たちから強力な武器を入手して快適にストーリーを進めることができます。道中で強い敵に遭遇して全滅もありますが、AutoSaveが頻繁に入り、セーブポイントも豊富なためそんなに巻きもどされないのは親切設計ですね。
それにしても、新しい街に行ってフィールドコマンドで悪事を働くのがこんなに面白いとは…!街の人とバトルもでき、連れ歩いてバトルに参加させたりといろんな事ができるフィールドコマンドは本作の魅力の一つです。
王道ってなんだろう?と考えさせられる。音楽の持つ力。
オクトパストラベラーは王道RPG、古き良きRPGと称されることが多いです。自分なりにプレイして感じたことは、やはりグラフィックが控えめな分、それを補うかのように音楽の役割に比重が置かれているということです。これは昔の名作RPGの「FF6」でも感じたのですが、古き良きRPGは総じて音楽・BGMが物語を語っています。本作でもそれは強く感じ、音楽の魅力がとても高い作品です。音楽にストーリーが込められ、要所要所にプレイヤーの感情を駆り立てる曲が流される…。音楽が無かったらオクトパストラベラーの魅力の大半を失ってしまうだろうと思うぐらい出来が良いです。サントラは高いけれど、買ってしまいました。
ボス戦の試行錯誤が面白い。一つのキャラクターのストーリーは40分から1時間程度。毎日少しずつ進めやすい。
一人一人のキャラクターのストーリーは1章あたり40分~1時間なので毎日少しずつ進めやすいです。雑魚敵との戦いはダレますが、ボス戦はしっかりと頭を使って戦略を考えないといけないのが面白いです。ボス戦の試行錯誤も本作の魅力の一つだと思います。
うーんと思うところ
プレイしていてちょっとこれは…と思ったところは、
・8人がなぜ一緒に旅しているのかの明確な理由づけがない。
・パーティーを入れ替えるのに酒場を利用しなくてはならず、控えのメンバーには経験値が入らない。
・各キャラの最終章(4章)のストーリーを終わらせても物語の真相に近づけない(スッキリ終わった感じがしない)。
ということでしょうか。特にテリオンは盗むのフィールドコマンドとダンジョンの紫宝箱を開けるのに必須なので、パーティーに入れたくなくてもずっと入れることを強制されてしまうと感じました。
8人それぞれの物語は起承転結がありますが、その8人がなぜ一緒に旅をしているのかについての明確な説明がなく、それぞれのキャラクターに縁がある人物と話しかけてもセリフが変化しないのは物足りなさを感じました。
本作のストーリーは裏ボスまで攻略することで完成となる。いったいどれほどの人が裏ボスまで行けただろう…?
本作では裏ボスが実質的なラスボスとなっている印象です。主要8人の物語は裏ボスへの伏線であり、全ての物語が裏ボスにつながっています。だから是非とも裏ボスをプレイヤー自身で攻略して欲しいのですが、裏ボスの敷居が最も高いです。私が普通に全員のストーリーをクリアしたのは約43時間ですが、裏ボスクリアまでに51時間超もかかってしまったのは、裏ボス攻略のためのレベル上げや装備収集のためのサブイベントなどをこなしていたからです。スーパーファミコン版「ドラクエ3」の神龍のようなおまけ的なボスではなく、それこそゾーマのような真のラスボスを隠し要素のように、わかりにくいサブストーリーの中に含ませているので気づかない人も多いのでは?と思います。
裏ボス自体も初見殺しが多く、特定のジョブのアビリティが必須レベルになっています。恐ろしいほどの強さに加え、攻略に2時間ぐらい時間が必要なので果たして本作のプレイヤーの何割ほどが自分で裏ボスまでクリアできたのか、と考えてしまうほど。でも裏ボスをクリアしないとオクトパストラベラーの物語は完結しない感じは残るという…。
総じて物語は王道で、裏ボスまで行くと8人全員の物語が繋がる感じはするけれど、そこに辿りつくまでは根気が必要なゲームです。さらっとメインキャラクターのストーリーを物語的(ナラティブ)な音楽と共に体験するには良いゲームですが、真の裏ボスまで行かないとスッキリしないゲームです。
裏ボスのためのレベル上げなどの作業に時間は使いたくなかったものの、裏ボスまでの伏線は見事だと思いました。プレイしてよかったゲームですが、主要ストーリーをクリアしたものの、裏ボスまで行けない人はYoutubeなどでストーリーを補完したほうがいいかもしれませんね。裏ボスを攻略することで本作の評価もガラッと変わると思います。