画集「サガシリーズアートワークス 小林智美画集 ハーモニー ~生命のふるさと~」はスクウェアエニックスのRPGゲーム「ロマンシングサガ」「サガフロンティア」シリーズのキャラクターデザインを手がける小林智美さんのSaGaシリーズ集大成の画集です。
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非常に重厚感のある永久保存版にふさわしい画集
主に収録されているのは1992年にスーパーファミコンで発売された「ロマンシングサガ」から2016年の「サガスカーレットグレイス緋色の野望」、そしてモバイルゲームの「エンペラーズサガ」やブラウザゲームの「インペリアルサガ」の作品。小林智美さんはOLを7年ほどしながら趣味で作品作りを継続して、作品を見出されてプロのイラストレーターとしてデビューされた経緯を持ちます。自分の好きなことをずっと続けてきたことで才能が開き、雑誌や小説の挿絵を担当した作品がサガシリーズの生みの親である河津秋敏さんの目に留まりキャラクターデザインを担当するようになりました。本人もまさかここまで長く続く仕事になるとは思ってもみなかったそうです。
非常に独特な画風 耽美的で頭身が高い人物画
小林さんの絵の特徴は漫画やアニメ絵ではない、キャラクターの魅力の本質を描き出すような美しい絵にあります。耽美的で頭身が高いイラストはどれも彼女の持つ独特の美意識が詰まっています。当然、昔の作品ほど時代を感じさせますが、現代になるにつれてより彼女の良さがより一層凝縮されたような、凝ったデザインや色合いのバリエーションが見られるように私は感じました。時代が下るにつれて自分の個性や良さをより高めていっていると感じます。
私が彼女の絵に最初に触れたのは、幼少期に姉がスーパーファミコンのロマサガ3をプレイしていて、そのパッケージ絵を見たのが最初です。当時は良さがあまりわからなかったけれど、大人になってから見ると絵の独創性、他にはない流行りに媚びない個性のようなものを感じ、眺めていて味わい深く感じるようになりました。彼女の絵の装飾にはミュシャ(アール・ヌーヴォー様式)の影響もあると思いますが、それも上手に咀嚼して自分の作品に落とし込んでいます。
画集自体がとても大きいので、印刷された絵も大迫力で目に迫ってきます。サガシリーズは数多くの神々や大人のキャラクターが登場しますが、どれも魅力的に描いています。大人のキャラ絵の味わい深さでいったら彼女の絵の右に出る者はいないほど。
永久保存に耐える納得の画集
6900円もしましたが、納得の値段でした。本としてはとにかく重厚感があり、高級さをイメージさせる紫の布貼り上製本かつ特製紙ケース仕様の豪華さを感じることが出来ます。こうした好きな事をし続けて、それが巡り合わせで仕事になって、その集大成が本という形に結晶として残るというのはとても幸せなことだよなぁと思います。
私は画集を買うときには作者の思考をうかがい知ることができるラフスケッチを一番重視します。本書でも、もうちょっとラフスケッチを増やしても良いのでは、と思いましたが、大ボリュームの最高級印刷で眺めるカラーイラストはそれはそれで素晴らしいもの。普段デジタルの世界で眺めるイラストとは違った良さを体感できる画集です。
小林さんのコメントも味わい深く、特に子供の頃に両親から最初の一冊のスケッチブックを買ってもらったことを感謝するくだりは心にジンとくるものを感じました。
■本書はスクエニの公式ショッピングサイト(e-store)限定商品です。
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・アマゾンにもありますが、転売価格になっていますので注意してください。