本書「聖剣伝説Legend of Mana Art of MANA」はスクウェア・エニックスより2021年6月24日に発売された「聖剣伝説 レジェンド オブ マナ コレクターズ エディション」に付随していたアートブックです。ゲーム内グラフィックやイラストが網羅されており、独特の優しいどこか温かみのある世界観を堪能することが出来ます。
古いゲームの作品だけど、手描き風2Dグラフィックアートは色あせない
ドット絵の作り込みも一覧で眺めることができる。
元のゲームである『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』は1999年7月に発売されており、2021年現在からすると20年以上前も昔に作られた作品です。当時はその不思議な世界観と温かみのある手書きグラフィックに魅了されたものでした。
時代の流れでゲームが2Dから3Dへの表現に移行していき、多くの3Dゲームが生まれましたが、2D主体で手書き風グラフィックが魅力の本作品は時間を経ても色あせることがありません。
ただ、全てが2Dではなく、中には3Dの作品もあります。ゲーム中、重要な役割を果たすアーティファクトのアイテム群がそれで、プレイヤーはこのアーティファクトを地図上に配置することで街やダンジョンなどを生み出すことができます。ゲームの中で新たなフィールドを生み出す異質なもの=メタ的な存在として敢えて現実世界のプレイヤーと同じリアル寄りの3DCGで描かれたのでしょうか。
3Dの作品もあるにはあり、ゲーム中のキーアイテムとなるアーティファクトは当時の3DCG技術で丹念に描かれている。
また、本作は手書きの背景画なども魅力ですが、紙面の都合上小さく一覧で掲載されているのが少し残念でした。背景を堪能したい場合は実際のゲーム画面をキャプチャーやスクショをとった方が良いでしょう。どれも世界観や個性がよく表現された素晴らしいデザインです。
丹念に描かれた背景画もあるのだが、本というスペースに制限があるためかとても小さく格子状に並べられているのが少し残念。
まとめ 名作の良さを詰め込んだ一冊
アニメが作られるそうで、そのための設定画も掲載されている。
全体を通しての感想は、当時の素晴らしいデザインや個性あるキャラクターや風景、世界観を一冊にまとめてくれた貴重なアートブックだというものです。開発スタッフのコメントも小さく載せられているのもいいですね。
特に優れていると感じるのはデフォルメの技術でしょうか。自然を上手に解釈して、誇張して個性ある味付けが他にはない素晴らしい出来だと思います。
似たような優れた2Dグラフィックを持つゲームにヴァニラウェア開発の作品群(「オーディンスフィア」「ドラゴンズクラウン」「朧村正」「十三機兵防衛圏」「グリムグリモア」など)があり、本作のグラフィック表現に魅せられた人なら同様に好きになれると思います。