エンドオブエタニティ(End of Eternity) はトライエース開発でSEGAから発売された銃撃アクションが特徴のRPGゲームです。元は2010年1月28日にPlayStation3とXbox360用ゲームとして発売されました。以前からちょこちょこ気になっていたのですが、2018年10月に4KHDエディションが発売され、今になってようやくクリアする事ができました(PS4版)。
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クリア時間は44時間程度 システムを理解するのがとても大変なゲーム。序盤で挫折する人が多そう
クリア時間は全ミッションを攻略して44時間程度ですが、10年前のゲームだけあって、セーブする箇所は限定されているし、同じところを何度も行き来するのがめんどくさく、日々何かに追われている社会人には厳しい印象です。私は毎日の隙間時間にちょくちょくプレイしていたのですが、序盤のシステムを理解するのにとても苦労しました。やるならゲームシステムの慣れを維持するため休日に一気にまとめて進めてしまった方が良いでしょう。本作のシステムはとても独特で複雑。序盤のチュートリアルの段階で挫折する人もかなり多いと思います。
超複雑なシステムは理解すれば爽快感に変わるが…
とにかく本作のシステムはユニーク。プレイヤーがシステムを理解するための学習コスト(負担)がとてつもなく高いです。制作者側もそれは理解していたようで、序盤に闘技場で学ぶように誘導されますが、文章量が多く頭が痛い…。それでもプレイヤーに分かるように可能な限り努力したそうです。
本作のプレイ時間の殆どが戦闘時間です。複雑なシステムはプレイしていくうちに体で徐々に覚えていきますが、その戦闘システムを覚えるために実践で試行錯誤したい序盤で難しいと感じるのが問題です。
基本的にキャラクターを走らせながら攻撃すれば良い(無敵となって一方的に攻撃できる)のですが、序盤は走れる回数も制限されているため難しいです。画面下にあるケージが攻撃にも守備にも最も重要なのですが、チュートリアルでは重要だと伝わりにくいです。
そして本作では全滅しそうになった時は気軽に低コストで何度でもリトライできるのですが、プレイ開始してすぐのプレイヤーとしては戦闘での敗北やリトライはあまりしたくない心理があるので、戦闘画面中央下のケージの重要性と、何度も戦闘をやり直して気軽にリトライによるトライアンドエラーができる事をもっとチュートリアルで強調した方が良かったのでは?と思います。
戦闘自体は将棋やチェスに似ている所があり、ケージを管理し使用する武器を考慮にいれながら地上を走ったり、走っている時に障害物をジャンプして空中から銃撃を浴びせたり、スタイリッシュ銃撃アクションとして非常によく考えられたものです。分かってくるとだんだん面白さが体感できますが、慣れていないと全く訳がわからないまま戦闘に放り出されるので諦めずに序盤を乗り切る忍耐力が必要なゲームです。私が3人連携攻撃の仕組みを真に理解したのはラスボス戦でした…。
フィールド移動はパズル要素でエナジーヘキサというアイテムを使ってマス目を自分で切り開いていく方式。これもユニークで面白いのですが、学習コストが高いです。基本的に色付きのマス目は鍵の役割があります。そして色付きのマス目は近くにエナジーステーション(簡易宿屋のような設備)を配置してそこから繋げていくことができますが、ターミナルはその色付きのエナジーヘキサで一定量のマスを繋げておく必要があります。私がターミナルの仕組みを理解し、使えるようになったのはゲームの最終盤でした。
【ネタバレ注意】ストーリーが気になるし、世界観が素晴らしい。それだけでクリアまで頑張れた。
何度も挫折しそうになった本作ですが、なぜクリアまでできたかというと、その世界観にあります。
遠い未来、荒廃した地球では汚染された大気により人が生きていく環境ではなくなっていました。そのため、人類はバーゼルという機械の中に住み、街を作り生きながらえるようになりました。
物語の舞台となるのは巨大な装置バーゼルであり、そこで暮らす人々は一度もバーゼルの外に出ることはありません。バーゼルが世界の全てであり、バーゼルの中で生まれ、死んでいきます。
そして、なんと人の寿命ですらバーゼルが管理しているという事実。この衝撃的な事実は冒険の途中でプレイヤー自身も体験しますが、オープニングムービーで自分の信奉していた神の正体が機械だったことを嘆く人物によってストーリー冒頭に示唆されています。(オープニングムービーは2種類あり、そのどれもがストーリーや世界観を描いている重要なシーンとなっています。)
プレイを開始すると黒髪の女性が飛び降り自殺をするところから始まり、一人の少年に助けられますが、その少年もともに落下していくという目を引く展開があります。普通だったらその高さで落ちたら死んでしまいますが、オープニングが終わるとなぜかその二人が生きていて、ヴァシュロンというキャラクターの元で報酬と引き換えに様々な問題を解決するPMFとして働きます。
なぜこの女性は自殺を図ったのだろう?なぜ二人とも生きているのだろう?という謎が最初に提示されるわけです。そして物語を進めていくうちに、バーゼルの中では確固たる階級社会が敷かれており、特権階級のカーディナルが世界を握っていること。バーゼルの下層に行くほど治安が悪く、荒廃した世界が広がっていること、バーゼルも徐々に機能が低下していることなど世界がつかめてくるようになります。
私はこれらの世界設定やキャラクターたちの物語を追っていくのが面白かったし、先が気になったので序盤のとっつきにくさを乗り越えてクリアまでいけました。シリアスな展開ばかりではなく、随所に面白おかしい笑いの要素が入っているのも好印象。エンドオブエタニティ独特の世界観を演出しています。
世界観の理解として、まずはプロローグで流れる動画に加えてタイトル画面を放置することで見られる動画は2種類あるので見逃さないようにしましょう。そして章が進むごとに町の人に話しかけることも忘れずに。
感想
徐々に退廃していく世界を背景に物語の謎を徐々に紐解いていくストーリーが魅力的な作品。RPGなのに剣と魔法の世界ではなく、銃に絞ったスタイリッシュな銃撃アクションが強みで、慣れると面白かったです。
ただ、本作自体が少し前の作品なので、セーブしたいときにセーブできなかったり(中断セーブはあるにはあるが、一度ロードすると消える。)、同じ場所を行ったり来たりしたり、ミッションでアイテムを敵が落とすのを狙うハックスラッシュ要素が必要な箇所は敵がなかなかアイテムを落とさず作業感が強いと感じました。
グラフィックも綺麗で、キャラの造形も良く、着せ替えなどで楽しむこともできます。
序盤のとっつきにくさから誰にも勧められる作品ではなく、ある程度ゲーム慣れしている人以外はオススメしにくいのが正直な感想です。
ストーリーには満足していますが、後半にいくにつれて説明不足だと感じる点もいくつかあります。ただ、クリアした時の達成感はありましたし、本作を最後まで見届けることができたのは良い経験でした。
動画資料
*4K,HDはダウンロード専売
以下ネタバレを含む考察・感想・攻略
■攻略Tips
・戦闘ではとにかく走りながら撃つことを意識する。
・デンジャー状態になったらリトライをする。リトライするのにお金が必要だが、無駄遣いしていなければ自然とたまるので遠慮なくリトライしよう。
・武器カスタマイズ画面で、武器本体の位置も右スティックで移動できる。
・ラスボスは3人連携攻撃をたたみ込まないとクリアできない。3人連携攻撃は青い道筋でのインビジブルアクションを何度も繋いで連続させることで一度に行えるループ回数を増やすことができる(インビジブルアクションを行うときに赤くなってしまうと回数がリセットされる。)。キャラの最終的な立ち位置を考え(距離が長いほど長く行動出来る)、青いインビジブルアクションを繋ぎ、最後に△ボタン→□ボタンで溜めていた3人連携攻撃を一気に放出するのがポイント。
・ヴァシュロンでアジトの酒棚を調べると得られるへそくりは最終章にもらうと30万になる。
・1度のターンで無理に全員行動させなくていい。×ボタンで行動キャンセルして、一人だけにターンを回して延々と行動し続けてもいい。
・キャラクターレベルはハンドガン、マシンガン、ハンドグレネードの3種類の武器レベルの合計で決まる。同じ武器を装備させるよりも、全く使っていない武器を装備させた方が成長が早く、レベルが上がるとHPが全快する。
・戦闘中、キャラクターの名前の左にターゲッティングマークがあり、敵からの攻撃目標となっていることを意味して、赤くなると攻撃される。自分が狙われている場合は敵側ケージが赤くなったときに攻撃されるが、仲間がターゲットされている場合は操作キャラの行動時間が終わるまで敵は攻撃しない。このときうまく攻撃すれば敵の行動を妨害することができ、延々と敵から攻撃されずに一方的に攻撃できる。
■本作における特徴的な視点 機械に寿命すら管理させる
・バーゼルという機械に自らの寿命すらも管理させるほど人類は衰退していた。かつてバーゼルを作った人類の叡智はどこに行ったのだろう?
・本作では銃だけが昔と変わらない技術を今に伝えているという。
・バーゼルにおいては機械が神のような立ち位置にいるので、人の信仰とはなんだろう?神の定義ってなんだろうと考えるきっかけになった。
・所有者に幸福をもたらす天頂の星の正体を知った時は驚き、衝撃を受けた。
・バーゼルに住んでいる人々は生まれつきの何かしら欠陥があると思っていた(謎の大量突然死がバーゼル各地に発生しているのが物語の背景)けれど、寿命をバーゼルの中枢システムに管理されている他はごくごく普通の命ある人間だった。てっきり実は人間ではない機械のようなものだと考えていた。
・奇跡の力というのも結局はバーゼルが定めたものなのだろうか。それならばその奇跡を起こす基準はどういう規則で決められているのだろう?昔の人類のバーゼルを作り出した技術力はとてつもないな…。
■カーディナルという特権階級について
・本作にはカーディナルという特権階級がいるが、そのどれもが個性的な感じで、ストーリーを進める度に交流を深めていくことができる。
・彼らは生まれつき特権階級なのだろうか?階層社会が印象的な本作において、いったいどこで人々の階級が決定されるのかが謎。インドのカースト制度みたいなものなのか?しかし商売で成功して上層に上がった市民もいるし…。
■ラスボスとなぜ戦うのか疑問
・なぜ戦うのか?の過程を丁寧に描いて欲しかった。えっどうして?という印象。
・意図的なミスリードは評価できるけれど、主要人物の一人サリヴァンが何を目的としているのかの描写が乏しいと感じた。
・個人的にはラスボスは憎めない、出来れば戦いたくない。
■本作から感じ取ったこと、メッセージ性
・人はこれまで自分の信じてきたものの正体が明らかになったとき、どういう行動に出るか。
・地位や立場に関係なく、自分の感情や自分を信じて行動する事の大切さ。
・枠や制限を自分の力で乗り越えていくことの心理描写。運命から逃れるために反抗するか、運命を受け入れ成すべきことをするのか。