ソウルキャリバー6 SOULCALIBUR VI (SC6)感想&評価レビュー

バンダイナムコから出ているPS4の「ソウルキャリバーVI」をある程度プレイし終わったのでレビューします。

「ソウルキャリバーVI」/「Soulcalibur VI」
バンダイナムコエンターテイメント 2018年10月19日
ジャンル:対戦型格闘ゲーム
PlayStation4/Xbox One/Microsoft Windows (Steam配信)

どんなゲームか

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


「ソウルキャリバーシリーズ」は中世を舞台とした人の魂を喰らう邪剣「ソウルエッジ」とそれに対をなす聖剣「ソウルキャリバー」に翻弄される人々を描いたストーリーがベースの対戦格闘ゲームです。格闘ゲームではカプコンの「ストリートファイター」が有名ですが、本作はそれぞれ実際にある武器(一部例外あり)を使って戦う剣劇対戦アクションというのがポイント。武器によってキャラクターの動作や技に特徴が持たされ、リーチの長さや武器の重さ、威力などで差別化されています
 
格闘ゲームは普段ゲームをしない人には敷居が高いかも知れませんが、「ソウルキャリバーシリーズ」は一人用モードが充実しており、適当な操作でも勝てる場合も多く、格闘ゲーム初心者ほど遊んで欲しい作品です。

実際私自身も格闘ゲームに苦手意識がありましたが、ソウルキャリバーを通して始めることができました。

■ソウルキャリバーとの出会い

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.©Nintendo


私のソウルキャリバーシリーズとの出会いはゲームキューブで発売された「ソウルキャリバーII」。任天堂とのコラボで「ゼルダの伝説」の人気キャラクター「リンク」が登場しており、それをきっかけにソウルキャリバーにのめりこみました。

武器を持って3D空間を自由に360度動き回れる操作の気持ちよさ。相手の縦攻撃を横移動で避けたときのスリル格闘ゲームなのに対戦だけで終わらず、一人用モードが充実していることが気に入り、「ソウルキャリバーII」は中古で800円ぐらいの頃に買ったのですが、それ以降は全部発売日に新品で買うようになりました。

ソウルキャリバーVIならではの特徴

最新作VIではシリーズのリブートがテーマです。これはどういうことかというと、単なるVの続編ではなく、これまでのシリーズの物語を再構成し、整理して分かりやすくまとめたシリーズ集大成としての意味づけが与えられた作品となっています。まさにシリーズをこれから始める人に向けの作品であり、シリーズをずっとプレイしている私でもキャラクターごとの設定や背景が本作をプレイすることでより分かるようになりました。

キャラクタークリエイションは健在

本作でも「ソウルキャリバーIII」から登場したキャラクタークリエイションは健在。自分の好きなキャラを自由に造形でき、本作でもそれができるのですが、これまでと比べてややパーツは少なめ。おそらく有料DLCコンテンツとして発売する為だと思います。

限られたパーツでも色や髪型、体型など組み合わせは無限大で、そのキャラクターはオンライン対戦やTwitterで公開することが出来ます。

■以下Twitterで発表されているクリエイション例。


https://twitter.com/fourth_avenue_/status/1058004385744080896
https://twitter.com/Trigger_happy9/status/1059796057159135233


https://twitter.com/turibaka10/status/1053265061135806465

他の作品はTwitter検索からどうぞ

一人用モード

一人用モードには大きく分けてキャラクタークリエイションで自分が作ったキャラクターを主人公とする「MISSION:Libra of Soul(リブラオブソウル)モード」とキャラクターごとのストーリーを追う「クロニクルモード」があります。

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

「Libra of Soul」モードではレベルアップや武器を集めることなどRPG色が強く出ています。ボリュームは多くクリアまでに11時間以上掛かりました。

クロニクルモードはメインキャラの一人「キリク」を主軸としたストーリーに加え、操作キャラ全員のストーリーを体験する事が出来ます。

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

こちらも全キャラクターをクリアしようと思うとボリュームはあります。「クロニクルモード」を表舞台の話だとすれば、「Libra of Soulモード」は裏の物語。相互に関連し合っています。

何が面白いのか 良かった点

1,ネットワーク対戦が面白い&初心者と上級者の距離を縮めた対戦バランス
世界中の人達とネットワーク対戦でつながれるのが面白いですね。対戦ゲームならではの最も面白い部分といえるでしょう。最新作である事と、まだ発売されたばかり(2018年11月現在)なのでオンライン相手は直ぐに見つかります。クリエイション要素のおかげで、もの凄くこだわったキャラクターと出会えるのも楽しいです。なお、niftyなど一部プロバイダーが提供している「V6プラス」接続だと対戦できないので注意が必要です(普通のv6接続にするか、v4接続を並立させそこを利用する。)

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


格闘対戦ゲームとしても完成度が増しており、初心者と上級者との距離を縮めたバランス調整がGood。本作から追加された強制ガードから強制ジャンケン(相手のコマンドに合わせてどちらのコマンドボタンを押すかで有利不利がハッキリとする状況)に持ち込むシステムの搭載で、初心者でも上級者に勝つことが出来る絶妙な塩梅です。だからこれまでシリーズを遊んだ事が無い人でも入りやすく、ソウルキャリバーというユーザー人口の拡大を意図しての良いバランス調整だと思いました。
 
システムとしては、マッチング対戦で死体蹴り(KOした相手にさらに攻撃を加えること)という挑発行為がなかなか取りにくい調整になっているのも配慮がなされていると感じます(海外の人は気性が荒い人が多いからかダウンした後に攻撃されることがある。)。初心者のうちはCPU対戦で練習し、ガードと横移動で相手の攻撃の隙を狙う事ができるのを目指すと良い感じです。相手の動作の隙を突いて攻撃することをカウンターアタックといって、より強力な攻撃になります(相手をシビれさせたりして行動不能にさせて有利に局面を運ぶことが出来る)。
 
2,良質なキャラの一枚絵とミュージアム

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


このゲームの悪い点でもあるのですが、ストーリー演出のほとんどが一枚絵の紙芝居形式です。これが物語への没入感を削ぎ、チープな印象をもたらしますが、その分、会話用のキャラの絵のクオリティは高いです(一方で予算の関係か、場面の絵は微妙)。これまでのシリーズ作品で名前だけ登場していたキャラがイラストとして表現されています。デッサンやイラストを勉強されている方なら、公式に出ているキャラ絵などに関しては線の描き方など色々と学べるところは多いのではないかと思います。ミュージアムモードではこれまでに出た全てのシリーズの設定資料を覗くことが出来ます(アンロック式のやりこみ要素。ズームが出来ないのが致命的…!)。ソウルキャリバーの資料ソフトとして、これまでのシリーズの集大成としての役割は果たしていると感じました。
 
3.キャラクタークリエイション
前作よりも最初から使えるパーツは少ないですが、他のゲームやアニメのキャラクターを再現して戦わせてみたり、モンスターの声も選べるのでとんでもない変なキャラを作ったり、自由な発想で色々と作り込むのは楽しいです。

ちょっと気になったところ

1.一人用モードが全体的に演出が紙芝居で、味気ない
やはり2018年に出た最新機種のソフトとしてはストーリー展開が一枚絵から構成される紙芝居だというのは世界への没入感を削ぎ、味気ない印象でした。素材はとても良いものが揃っており、ボリュームもあるのに心の底から世界観を体験できない印象。プレイヤーはどこか世界の外にいる感じ。濃いカルピスを薄〜く引き伸ばされたものを提供されたみたいで凄く勿体ない。「ああ、予算が降なかったんだなぁと」大人の事情を感じ、むなしいものを感じます。プロデューサーいわく、本作を開発している時に既に「ソウルキャリバーシリーズ」は危機に瀕していたそうで、開発予算もそれほど潤沢では無かったのでしょう(IVとVから徐々に低予算臭はしていた)。個人的には一人用モードはIIIがピークでした(次点でII)。ストーリー展開も結局は闘いになる流れで、やっていくうちにマンネリや飽きを感じた場面も多いです(そうしたときはネットワーク対戦でモチベーションアップさせていた)。ソウルキャリバーは一人用モードが充実しているのが最大の魅力なので、次回作ではもっと演出面での強化が欲しいですね。

2.ロードが長い
私はSSDに換装したPS4を使っていますが(参考)、それでもロードはちょっと長い印象を持ちました。そのため、ssdに換装せずHDDを使っている人はロード時間がもの凄く長く感じるのではないかと思います。紙芝居展開のストーリー演出ですが想像以上に読み込みに何度もロードを挟むので、もうちょいロード時間なんとかならなかったのか、と思います。

3.これまでのシリーズの全キャラクターがまだ出ていない

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


シリーズ集大成なのに、これまでのシリーズで出てきたキャラクターが一部出ていないのがとても残念(新キャラのグローはカッコよく、かなり良い)。個人的には特に愛用していたユンスンが無いのが残念で、あとはヒルダツヴァイヴィオラといった前作キャラが使えるようになって欲しいですけれど…(可能であればIIIに出ていた忍者とかキックエッジアーツとかも欲しい)。これからDLCで使用キャラが増えるとして、果たして登場してくれるのか心配です。前作のモーションをそのまま使えば良いのに何が手間なんだろう(開発ツールのアンリアルエンジン4と相性が悪いとか…?)
 
4.出し惜しみマーケティング

「2B」をなんで発売前に発表しなかったのだろう?初動の売上げも変わったと思う。©BANDAI NAMCO Entertainment Inc. SQUARE ENIX CO., LTD.


一番理解不能なのがこれです。なぜシリーズ存続の危機といっておきながら出し惜しみをしたのか理解できません。突然のコラボキャラの発表に悪い意味で驚きました。私はシリーズ存続の助けになればとPS4ダウンロード版のデジタルデラックス版を購入しましたが、「2B」(ニーアオートマタ)というコアなファンがいる作品とコラボするのならもっと前面に出して宣伝するべきです。こうした出し惜しみはマーケティング上なにか考えがあるのかと思いますが、ゲームは初動が大事なのに凄く勿体ない。「2B」が出ると分かっていれば予約数も増えたのでは無いかと思います。
 
DLCの権利など全て一回で買ったけれど、ロードマップみたいな物が示されていないため、買ったはいいけれどワクワク感をそんなに感じる事は出来ません。早く情報を更新して欲しいです。情報開示も立派なマーケティングですからね。

総評

楽しさ ★★★★
操作感 ★★★★★★+
難易度 ★★★★+
プレイタイム:約20時間
満足度 80%

シリーズ集大成としての意気込みは感じるけれど、どこか低予算臭とマーケティングで出し惜しみをしていて、勿体ないと感じる作品でした。剣劇対戦アクションとしては初心者と上級者の距離が縮められ、これまでソウルキャリバーをしたことが無い人でも入りやすくなっています。ミュージアムモードも充実しているので資料ソフトとしての価値もありますね。公式サイトがなかなか更新されず、DLCのロードマップも未定だらけなので、もっと頑張って情報開示してもらいたいですね。年末商戦は色々他のゲームも出てきてソウルキャリバーVIの熱も薄れていく人が多いと思うので、鉄は熱いうちに打てじゃないですが、もっと積極的にマーケティング頑張ってほしいものです。

参考動画

参考・出典

ソウルキャリバーVI(バンダイナムコ公式)
ソウルキャリバーVI(wikipedia)
プロデューサーインタビュー IGN Japan
ソウルキャリバーVI攻略WIki FANDOM

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