Photoshopで描くデジタル絵画 画力向上のアイデアとヒント【アート参考本レビュー】

今回もPhotoshopを活用したコンセプトアート本のまとめです。序盤は初めてPhotoshopでデジタルペインティングをする人向けに丁寧な解説がされ、後半は中級者向きにそれぞれのケースに対してどうPhotoshopを駆使して表現していくかが複数のアーティストによるチュートリアル形式で説明されていきます。文章量は多め。

◆書誌情報
「Photoshopで描くデジタル絵画 -画力向上のアイデアとヒント-」
3DTotal.com (著), 高木 了 (編集), 株式会社Bスプラウト (翻訳)
ボーンデジタル 2012/8/29

内容の要点

・コンセプトアーティストは、与えられた指示や説明を洗練されたイメージに発展させて行くのが仕事。
・Photoshopでの作業は従来の油絵を描く場合と同様のスキルとデザインを見極める目が必要になる。
・デジタルペイントでの解像度は300dpi&最低6000ピクセル以上
・8bitカラーはRGBそれぞれ256x256x256=約1680万色。
・16bitカラーは約281兆色を扱える。
・16bitカラーは画像の編集の時に威力を発揮する。ファイルはその分大きくなる。
・線画をスキャンするには300dpiの解像度で行う。

色は特定の感情や事象をイメージさせる。
赤:情熱・危険
黒:悲しみ、憎しみ
白:純粋さ
青:平和
黄色:警告
緑:嫉妬や平和
空は青、草は緑、太陽は黄色、木は茶色、バラは赤色といった物にも色のイメージが結びついている。

初心者ほど対象が実際にどのように見えるかよりも、刷り込まれた知識に基づいて彩色しがち
・色彩理論と組み合わせについての知識を学び、色の見方と混色を学ぶ。赤、黄色、青の3色が基本原色
自然の中には純粋な色はほとんど存在しない
・写真から色を引っ張るよりも、自分で色を作れるようになれた方が能力の向上に繋がる。
・色の参考になるサイト→http://www.colorjack.com/sphere
・3次元描写が苦手ならGoogle SketchUpを活用してみる。→https://www.sketchup.com/ja

・キャンパスに絵を描き始めるときは、常に光源を意識する。どこから光が入ってくるのか?
・全体を大まかに描いてから細部に移る。
適度にカンバスを左右に反転させる。(アート参考本に共通した教えですね)

構図

フィボナッチ数列が美術にも応用できる。特に黄金分割は完全性を表現できる。アートとして表現する美を明らかにする数学について学ぶ。
・フィボナッチ数列から発展した黄金長方形は1:1.1618の長方形のこと。求心力のある焦点を持った極めてバランスのとれた構図が作れる。
・3分割の法則は、黄金長方形を縦と横で3分割しその縦の線と横の線を交差する点に焦点・訴求する要素を配置する構図のこと。
・構図を検討するときはコントラストが重要。ちゃんとコントラストが表現できているか。
・コントラストを形作る要素として光と影、色相彩度、素材、緊張感とバランス、円や四角、形状のコントラスト、安定と不安定などがある。
・大胆に大きな前景を入れてみるのも有用。
・「ヴィネット画面」とは、エッジと4隅を暗くして視線を囲い込む方法のこと。クイックスケッチで特に効果的。
・構図はごく小さな変化が最終結果に大きな影響を及ぼす。水平線を傾けるだけで大きな躍動感を出したりできる。
・基本形状(円、正方形、楕円、十字など。)をレイアウトに活かす。
・絵の中にリズムと階層構造を作ってみる。
・一番の見せ場に視線誘導をする仕掛けを入れてみる。

奥行きの錯覚を作り出す。

・霧は奥行きを出すのに最高のツール
・遠くほど青みがかってぼやけて見える。(空気遠近法)
・風景は遠近法と消失点を意識する。
・遠近法では消失点に向かって全ての線が収束していく。消失点とは水平線上にある点。数によって遠近法の種類が分けられる。
人間の目はすぐに錯覚を起こすため、目測に頼りすぎないようにする。遠隔グリッドツールが便利。

全般的なヒント

・漠然と描くのではなく、何か一つ絵にストーリーの要素を考えてみる。物語を入れようと意識を持つだけで全然違う。
・シルエットだけで特徴を出す。
人型のものは目につきやすい
・絵の中に一つは目につきやすい特徴を持った要素を配置する。
・何かを目にして気に入ったとき、なぜそれを好きだと感じるのかを考えてみる。必ず何か訴えてくる要素がある(構図か、色か、物語か、形状か)。
・真っ白なキャンバスよりも、中間色で始めた方がやりやすい。
・表情作りは筋肉の動きを知ることが大事。解剖学の知識を学んでおく
・規則にとらわれず、規則を曲げることを恐れないようにする。規則に縛られてはかえって無難な平凡な作品になってしまうこともある。

Photoshopテクニックまとめ

・何でもブラシに出来る。
・ブラシにしたい場合グレースケールにして白黒にして色を飛ばす。
・写真やテクスチャをカスタムブラシに設定する。
・画像サイズを大幅に縮小すると、必ず画像がぼかしにかかったような感じになる。アンシャープマスクフィルターを使って、画像にシャープさを取り戻す。
・テクスチャブラシを使うことで作業が遙かに簡単に、時間も大幅に節約できる。
・ありとあらゆる物がテクスチャとして活用できる。特定の写真じゃなければ作れないということはなく、発想の勝負。
・服に使われる複雑な刺繍もブラシで作成できる。
・レースなどの柄はタイリングできる(つなぎ合わせられる形で)模様を作る。
・ゆがみフィルターを使って模様と服をなじませて合成する。

紹介されているテクスチャサイト
https://freetextures.3dtotal.com/
https://www.textures.com/

気に入った作例ベスト3


女性の顔

 


構図と石膏像の配置がお気に入り

 


赤色のアクセントがひときわ輝いている作品(左図)

 

総評

網羅性   ★★★☆
作品例   ★★★★☆
読みやすさ ★★★☆
有益性   ★★★
満足度   65%

Photoshopとタブレットを入手することが前提となりますが、デジタルペインティングの本当のビギナーに向けた本で、photoshopの初心者から中級者まで役に立つ本です。しかしながらちょっと昔の本なのでコンピューター関連の記述は時代を感じさせるところも。

序盤は初心者寄りですが、途中から一気にレベルが上がるので、完璧にやろうとするとついて行けないかもしれません。あくまで複数のアーティストによる作品の作り方を参考にとどめる程度でいいと思います。後半は個々の事例(銅や布の質感、惑星の書き方など)を扱うのでピンポイントで欲しい情報がある場合は有益です。

今となってはフォトショップに関してのチュートリアルは全てネットで調べられるので、あえて本書を買わなくてもいいかもしれません。文字要素が多めでびっしり詰まっているので(当ブログの読書まとめ記事みたい…)、文字を読むのが苦手な人は一字一句読んでいこうとすると挫折するかもしれません。

とにかく本書を読んで満足せずに、毎日手を動かして練習を積み重ねることが重要ですね。

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