大畠雅人作品集 ZBrush+造形テクニック【アート参考本レビュー】

造形のヒントになる何かが得られればと思い、大畠雅人さんのことは知りませんでしたが表紙の作品が良かったので購入した一冊です。結果は当たり。作品のクオリティがとても高く、アナログとデジタルを組み合わせた造形テクニックが紹介されています。3Dプリンターが世の中に出るようになって、誰でもやろうと思えばオリジナルフィギュアが作れる時代になりました。商業のフィギュアといえば人気アニメやゲーム、映画の版権ものが多いのですが、今回は大畠雅人さんのオリジナルフィギュアが中心です。私は彼の作風や造形センスがかなり気に入りました。3Dモデリングソフトのz-brushやその他ソフト関連のテクニックも載っていますが、作品集として楽しめる一冊です。

◆書誌情報
「大畠雅人作品集 ZBrush+造形テクニック」
大畠雅人 (著)
玄光社 2018/6/30

気に入った作例ベスト3


ゲーム「Lust of Us」に影響を受けて作られたという 「killer」

 


「Hunter」と「Black Rock City」

 


「Contagion girl2」

 

どれも作例のレベルが高く、造形センスも好みのタイプです。海外には見られない日本の「カワイイ」文化と洗練されたスタイリッシュさのバランスが絶妙な印象です。一部海外ドラマの作品などもあります。どれもコンピューターで原型データを作った後にアナログな手作業で着彩し、完成していきます。この仕上げを行う人をフィニッシャーといって、色や世界観を決定づける非常に重要なパートとのこと。フィニッシャーも違えば完成された作品の印象もガラッと変わるとのことです。

総評

網羅性   ★★★
作品例   ★★★★★★★★
読みやすさ ★★★★ 
有益性   ★★★★
満足度   95%

作品のクオリティがどれも素晴らしく、作品集として想像力を刺激される一冊です。表紙の「GAME」という作品を例にパソコンで原型データをモデリングし、仕上げはアナログの手作業で組み立てていく工程が詳細に載っているのですが、なかなか大変だなぁと思いました。フィギュア造形に興味がある人にはためになる一冊なのではないでしょうか?デッサン練習の対象としても良い対象になると思います。大畠雅人さんのセンスある造形作品に興味が持てた一冊でした。

関連記事

ポートレートスカルプティング 粘土で作る頭部:アナトミーから表情まで【アート参考本レビュー】
フィギュアスカルプティング 粘土で作る全身像:アナトミーと面からの構築【アート参考本レビュー】
田島光二作品集 & ZBrushテクニック (KOUJI TAJIMA ARTWORKS & ZBrush Technique)【アート参考本レビュー】

 
前の記事ポートレートスカルプティング 粘土で作る頭部:アナトミーから表情まで【アート参考本レビュー】
次の記事ANATOMY SCULPTING(アナトミー・スカルプティング) 片桐裕司 造形テクニック【アート参考本レビュー】