SHOEDOG シュードッグ 靴に全てを フィルナイト(著) 感想

SHOEDOG シュードッグ 靴に全てを フィルナイト(著)
ナイキ創業者の自伝的一冊「SHOEDOGシュードッグ 靴に全てを」を読み終えました。どのようにしてナイキが生まれたのか、1962年から1980年に株式公開に至るまでの創業ストーリーです。結論から言ってしまうと、評判は良い本ですが、イマイチ私にはピンとこない一冊でした。

得られたアイデア、教訓は「自分を信じ行動を続けること」

500ページを超える大ボリュームの本書ですが、得られた教訓は「自分を信じ、行動を続けろ」というシンプルなもの。本書の記述の大部分を占めるのは創業者の回顧録としての数多くのエピソードです。オニツカや日商岩井(現・双日)といった日本企業との取引や話し合い、銀行からの金の借り入れに苦労した事や、せっかくの契約が頓挫してしまった話など。「ナイキ」が好きな人なら共感して読める話かも知れません。その中でもナイキのロゴデザインを貧乏美大生に35ドルでやらせたエピソードや勝利の女神NIKE(ニケ)から取ったナイキの命名の由来についての話は興味深かったですね。

全体をまとめると、今では世界的な大企業であるナイキ。その始まりは地道な試行錯誤の連続でした。会社を創業したといっても、普通の人間と同じように悩み、模索し、挫折をしたり裏切られたりして自信を失うこともありました。だけれど、仲間や周囲の人との協力や諦めないで粘り強く行動していくことで活路が見えていく…といった所でしょうか。

本当に負け犬なの?


本の袖部分に「負け犬たちの熱狂人生」ってあるけれど、本書からはそこまで負け組感を感じることが出来ませんでした。

フィルナイト自身は一流のオレゴン大学を出て、アイビーリーグのスタンフォード大学院MBAまでスムーズに取得しています。かなり恵まれた家庭で育った人です。私からすれば全く挫折感が伝わってきません。本のタイトルであるシュードッグ(靴の販売に命をかける人々)と絡めて「負け犬」という言葉をとってつけた印象です。

私の場合は高校中退して引きこもりだった家入真一さんや、一家離別や女性差別に抗った谷口愛さんのストーリーの方がぐっと刺さりました。

天職を追い求め続ける熱狂ストーリーというよりかは淡々と目の前の困難に対処していく日常が綴られている感じです。大きなことを成し遂げるには自分のアイデアを信じ、目の前の困難を乗り越えていくことの積み重ねが重要。行動していく中で仲間や助けてくれる人との出会いがあり、行動することで運も開けてくる、といった「行動することの重要性」を本書で再確認した、という感じです。私としては既に身に染みている事なので、本書は新しい発見も無く心に刺さらなかった次第です。

本書が刺さる人を私なりに考えてみると、ナイキブランドに興味がある人がまず一つ。次に、よい子で周囲の大人の言うことを素直に聞いてエリート人生を歩んで来た人で、普通に新卒で会社に入って30代40代を迎えて、「自分の人生はこのままで良いのか?」と思う人にはグサッと刺さるかも知れません。

フィルナイトはエリート人生やレールを捨てて、自分の信念を貫く事を選んだので、彼と同じように大企業や安定した会社に所属しているけれど、どこか生きがいや充実感を感じられない人には背中を押してくれる本となるでしょう。

起業やオリジナリティ(アイデア)について興味があるなら「ORIGINALS」の方が内容や学べる事が多く、実践的です。

参考・出典

ナイキ(Wikipedia)

 
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