【感想】「ビデオゲーム THE MOVIE」海外から見たゲーム産業のドキュメンタリー

【感想】「ビデオゲーム THE MOVIE」海外から見たゲーム産業のドキュメンタリー

今更「ビデオゲーム THE MOVIE(2014年米)」を見たのでその感想などをまとめます。2019年11月現在Amazonプライムビデオ(AmazonPrimeVideo)で無料で視聴可能です。

PV

印象に残った点

・ゲーム産業を滅亡寸前まで追いやったアタリショックはクオリティの低いゲームの乱発によるもの。大量に破棄され、墓場まで作られた「ET」はわずか5週間で作ったという。
ゲームも作れば売れるという時代があった。ETを出した頃のATARI社の社長はゲームのことを全く知らず、宣伝美術と広告、マーケティングの数値だけを見ていた。

■参考「E.T. (Atari 2600) – Angry Video Game Nerd – (AVGN)」

・ファミコンが成功したのは任天堂による徹底した品質重視の姿勢。ファミコンの大ヒットでアタリショックで虫の息だったゲーム産業が息を吹き返した。

ゲームは映画よりも年齢制限に厳しい。映画で暴力を見るのが良くて、ゲームの暴力が批判されるのはゲームがメディアとしての地位をまだ確立していないから

・どこの国でもゲームを害悪としてみる見方があり、北米の場合は宗教団体も含まれるので日本よりも表現については繊細なんだな、と思った。

・一人の開発者がスポーツ選手やミュージカルスターのように、ゲーム開発者も多くの人に夢を与える素晴らしい職業になって欲しいと語ったことが印象的。

・ゲームが他のメディアと違うところは、プレイヤーが参加して物語に介入できること。(確かに「ウィッチャー3」のシナリオ分岐は相当なものを感じます。)

誰にでも出来る簡単な操作と奥深さを感じさせる難易度がヒットするゲームに共通すること。

・昔のゲームはシンプルな、誰にでも分かる物が求められていたが、現在はプレイヤーの求める要素も肥大化してかなり複雑に作り込まれたゲームが求められるようになった。特に物語性は昔のゲームには無かったもので、例えば昔のゲームはなぜエイリアンが地球に侵略するのか理由など必要なかったが、今のゲームでは敵側にも理由やシナリオをつけることがプレイヤーをゲームの世界に招待するにあたって重要な要素となっている。

・ゲームは人間の持つ技術、美術、音楽といった創造力の集大成

ゲームを肯定し、ゲームの未来展望は明るいことを感じさせる映画

全体的にゲーム業界を明るく展望した内容です。ドキュメンタリー(ゲーム業界の資料)として不十分という声もあったり、セガが余り取り上げられていないという点もありますが、ゲームについて詳しく知らない人がざっとゲーム産業史を知るには良い映画だと思いました。

ちょっと尺が長い感じもしますが、海外のゲーム開発者からみたゲーム産業についての歴史を振り返るインタビューの数々は面白かったです。コアなゲームファンには知っている事ばかりで物足りないでしょうが、軽くゲームに興味がある人が見る分にはお勧めです。


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