【書評】「オリソン・マーデン 成功の原理原則」 他にはない偉人たちへのインタビューが興味深い一冊

【書評】「オリソン・マーデン 成功の原理原則」 他にはない偉人たちへのインタビューが興味深い一冊

【書評】「オリソン・マーデン 成功の原理原則」 他にはない偉人たちへのインタビューが興味深い一冊
今回はダイヤモンド社から出ている「オリソン・マーデン 成功の原理原則」を読破したので、気づいたことや学んだことをまとめていきたいと思います。

自己啓発本はもう卒業…と思っていたが、本書は違った。

かつて私は多くの自己啓発本を読んでいました。昔の私は今ほど賢くなく情緒的に不安定で打たれ弱くて、くすぶっている現状をなんとかしようと10代の頃からブックオフとかで買い漁ったり図書館でたくさん考え方の本を読んできました。

しかし、徐々に統計的・科学的エビデンスに基づく心理学の知識を蓄えていくにつれて、筆者にしか通用しない単なるサンプル数1の成功談や精神論、気合や根性論にしかならない持論が展開されている自己啓発と言われるジャンルの本とは自然と距離を置くようになりました。これは、人生経験を積んでいく中で、自分なりの気分や調子が落ちたときにうまく人生を乗りこなしていく感覚がつかめてきたからでもあります。

そんな中、たまたま出会った本書は何百とある自己啓発本の中でもかなり本質的な内容が込められており、一時的にやる気や情熱、人生の目標を見失ったときに元気を取り戻させるような、いわば自己啓発本が持つ良さみたいなものを感じとることができる一冊でした。自己啓発本はもう卒業だと思っていましたが、手軽に気持ちを前向きにする上で結構有用なのかもしれないと思いました。

歴史に残る複数の成功者の口から語られる生い立ちインタビューが貴重

本書の最大の特徴としては、実際に歴史に残るような大きな成功を収めた偉人たちのインタビューが収録されていることです。

・電話の発明者 グラハム・ベル
・デパート王 ジョン・ワナメーカー
・石油王 ジョン・ロックフェラー
・発明王 トーマス・エジソン
・鋼鉄王 アンドリュー・カーネギー

彼らは教科書に乗るような大きな成功をしたのですが、多くは名前や逸話が引用として紹介されるにとどまっている形式が多いと思います。本書のように実際に彼らにインタビューして彼らの口からエピソードを語ったものが収録されている本書はとても貴重と思いました。

本書から学び得たもの。自分を信じ、強みを生かして熱意を持って目の前のことに取り組む、行動を起こしていく。

本書の中で印象に残った学びをいくつか紹介しましょう。

私が共通していると思ったのは、

・自分の可能性を信じること
・自分の個性や強みを活かしていること
・実際に行動を起こしている

点です。時代もあるとは思いますが、学歴や実家の良し悪しと成功とは関係がないと断言しているのも印象的。

人それぞれ、得意不得意がありますが、それが個性となり強みや弱みとなります。成功者は減点方式に自分の短所に注目するのではなく、自分自身が持つ長所を活かしていると思いました。まずは自分自身を知ること、自分にとって何が得意で何に興味があるのかを把握することが成功につながるのでしょう。自分の強みを活かせる仕事につければそれだけで周りから感謝される機会も増え、ビジネスチャンスや出会いも増えて結果としてうまくいく流れに乗れるのです。

本書では現状がうまくいっていなくても「成功者(勝者)として振る舞う」ことの重要性も説かれています。自分で自分の可能性を信じず、劣等感に苛まれて自ら自分は人生の敗北者の烙印を押す人のなんと多いことでしょうか。これは数多くの情報が行き交う現代(自分よりも遥かに成功した人の情報に容易にアクセスできる時代)だからこそ肝に命じておきたいことで、他人と比較して自分の立場に絶望したり可能性を狭めるのではなく、内に眠る自らの可能性を信じ、前向きに行動を起こしていくことの重要性を実感させられます。

また、「神に選ばれし偏執狂」というワードも興味深かったです。これは周りから変人と思われようととにかく一つの興味がある対象をとことん突き詰める傾向のことで、尋常ならざる熱意を持つことなければ周りの人も動かすことが出来ず、大きな成功は成し遂げられないことを意味しています。好きでもない仕事で成功できるほど世の中は甘くないのです。

本書では手近な仕事に携わっては成功できないとも説かれています。人は経済的安定を求める生き物ですが、安い誰にでもできるような仕事にいつまでも携わっていても、一時の安心感は得られるものの、そのぬるま湯にいつまでも浸ってしまい、自分自身の評価も可能性も矮小化してしまう危険性があります。成功したいのならチャンスを待つのではなく、自ら積極的に重い腰を上げて行動を起こしていくことの大切さを説いています。

まとめ 後味の良い読後感。自己啓発は使いよう。実際に目標を見据え具体的な行動計画を実行しなければ意味がない。

ずいぶん久しぶりにコテコテの自己啓発と呼ばれるジャンルの本を読みましたが、読後感はスッキリしたものでした。

経済的に不安定だから安定した(と思われる)道を選ぶのも一つの人生ではありますが、やはり一度しかない人生、自分の個性を活かし、大きく成功したいと野心を秘める人にとっては本書の内容はかなり刺さるかと思います。

結局自己啓発本と呼ばれる本は、実際に読んだ後に行動を起こせるかどうかが重要で、読んで満足しただけでは何も人生は変わらないし、単なる一時的な精神安定剤にしかなりません。

ただ、シニカルに考えれば本書は成功に執着・欲がある人向けで、そこまで成功に執着がない人が読んでもあまりピンとこないでしょう。私としては成功者に共通するエッセンスをコンパクトに纏めた本書は評価できるものの、失敗にフォーカスした本も読みたいな、と思いました。人生における成功の定義や道筋は人それぞれですが、人が破滅し挫折していく失敗の過程は多くの人に共通すると考えているからです。その点、心理学を学ぶと人が陥りやすい罠とかも見えてきて応用が効くので自己啓発と心理学はまるで違うなーって思いました。

総じて、少し気落ちしたときや、目標や夢に向かって突き進んでいたけれど停滞しているときに読むと背中を押してくれる心強い一冊となることは間違いありません。

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