ペルソナ4は学園生活を舞台にしたアトラスのジュブナイル(10代の青春や心理的葛藤を描く)RPGペルソナシリーズの4作目です。2008年7月10日にPS2版がリリースされ、2012年6月14日に完全版となる「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」がPSVitaでリリースされました。私がプレイしたのはPSVita版の方で、最初は慣れるのに苦労したものの、最後まで時間を忘れてプレイした作品です。クリア時間は約81時間でした。
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ペルソナ5が素晴らしかったからこそ手に取った作品。
私とペルソナシリーズとの出会いは本作が初めてですが、プレイしたのはずっと後です。当時姉がPS2のペルソナ4をプレイしているのを見て、フラグ管理が複雑で難しそうなゲーム・・・という印象を持った以外には自分でプレイすることはありませんでした。実際に私がプレイしたのは2017年になってから。当時ペルソナ5をクリアして、あまりの素晴らしさに過去作もやろうと勢いに任せてペルソナ4のVita版をダウンロード購入しました。
最初は最新作のペルソナ5(2016年発売)をプレイした後だったので、システム面やグラフィック面での見劣りがして慣れるまでしんどかったです。ただ、続けていくうちに慣れてきて仲間との交流や登場人物達の心の機微を描いた物語に夢中になりました。
マヨナカテレビというその人の深層心理を映し出す舞台装置
ペルソナ5でも思ったのですが、ペルソナシリーズは人の心理描写がとても優れています。人ってそれぞれ居場所や環境によって色んな仮面(ペルソナ)を被っていると思うんです。学校では、職場では、友達の前では、恋人の前では〜といった感じでそれぞれ違う仮面を付けて自分というキャラや性格を演出しているというか。
本作ではマヨナカテレビという舞台装置があって、その中では登場人物達の本心、抑圧された願望や感情が姿を持ち、主人公達と対峙します。そしてその本心と向かい合い、受け入れる事で成長していく姿が描かれています。
心理学で言うセルフコンパッションにも通じる話であり、本当の自分の気持ちをありのままに受け入れる姿勢が成長をもたらすテーマはなかなか心に響くものがあります。心理学に興味がある人ならかなりお勧めできるでしょう。
物語はミステリーの要素があって、プレイヤー自身で謎を解き明かす。
本作は名探偵ポワロやシャーロックホームズのような推理ドラマの要素があって、謎の連続殺人事件を解き明かすことが物語の軸となっています。主人公はその謎を解き明かす過程でマヨナカテレビを見つける訳ですが、学生生活とマヨナカテレビ、殺人事件というテーマが上手く構成されています。
物語後半にプレイヤー自身で謎を解き明かし真犯人を明らかにする局面があるのですが、選択肢を失敗すると容赦なくBADエンドになります。私は所見でBADエンドで愕然としましたよ・・・。トゥルーエンドの条件はなかなか難しいと思いますが、ネタバレを見ずに所見でどのエンディングになるのか体験するのもゲームならではの楽しみ方と言えます。
ペルソナ4で青春や学生生活の追体験ができた。
私は事情により高校中退をしていて、いわゆる大半の人が普通に体験するであろう高校生活というものを送ったことがありません。大人になった今でも“普通に高校に行って青春を送る生活”がどういうものだろうか?と思う時があります。でも、本作をプレイすることでその追体験をしたというか、どこか私の人生に欠けていた心のピースが埋まる感覚がありました。
もちろん現実はゲームのように理想通りには行かないでしょうが、本作をプレイしていく過程で癒やしに似た感覚を得たのは事実。映画や小説などの受動的なメディアではなく、プレイヤー自身が没入できるゲームという媒体、というのも良かったのでしょう。
思い通りの学生生活を送れなかった人、事情により高校中退をして普通の高校生活を送れなかった人にとって本作は明るい学生生活の追体験を提供してくれます。私は本作から元気を貰って、自分のリアル人生に立ち向かう励ましを得ることができました。
学生生活の陽気さとストーリーのシリアスさとの絶妙なバランス、心の葛藤や登場人物たちの精神的な成長など様々な要素がこめられた良作と言えます。システム部分やグラフィックの古くささを我慢してでも一度は味わっておきたいストーリーです。
参考・出典
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