高校中退サバイバルマニュアル レールから外れてしまった人生をどう生きるか

高校中退サバイバルマニュアル レールから外れてしまった人生をどう生きるか

今回は高校を中退してしまった人が、その後どのような戦略で人生を生き残っていくのかについて私の経験を踏まえてまとめてみようと思います。レールから外れてたくさんの失敗や後悔、挫折や困難を経験してきた私だからこそ書けるような、自分が人生で学んだことのエッセンスを詰め込みました。

高校を2度も中退した人はそうそういない。

私は高校を2度も中退しています。昔は勉強や読書の楽しさも分からなかった上、学校に馴染めないストレスを現実逃避としてゲームばかりしていました。特に犯罪や非行をしていたわけではなく、むしろその逆で超真面目すぎて不器用であったがために適応に苦労したのに加え、思春期という繊細な時期に強迫性障害を患ってしまったことが原因でした。

最初に行った公立の高校は偏差値が低いところだったのでチャランポランで遊んでいる人しかいなくて馴染めず、その次に真面目な人が多いと思われる偏差値高めの私立高校に行ったのですが今度は学校側の締め付けや拘束が想像以上に厳しい上に同級生とも一年遅れっていうこともあり馬が合わず中退。高校を中退した時点で通信制高校を選んだり、別の何か専門技術を極める道を模索するべきだったのですが、当時は普通のレールにこだわって高校を再受験したりするなどとにかく普通のレールに戻りたいと必死でした(すでに最初の高校を中退した地点で普通というレールから大きく外れているのにもかかわらず)。これだけで10代の頃の私がどれだけ不器用な生き方しか出来なかったのかが察せられるかと思います。仕方がなかったこととはいえ、今思い返しても視野が狭くひどく不器用な人生を送っていました。

だからここに書く内容も、かつての私のような内向的で神経質、性格的には真面目なんだけれど、勉強もできないし、特にスポーツが好きで得意なわけでもない、どうにも学校生活がうまく行かない、馴染めないという人(俗な言い方をすれば「真面目系クズ」と揶揄される人)に向けて書いています。

高校を中退しても死なないし、十分に生きていける

高校を中退するとどうなるのか。

結論から言ってしまうと、高校を中退してもごくごく普通に社会復帰することは可能です。本人やその家族はこれから先どうなることか不安で心配でいっぱいでしょうが、高校中退ぐらいの挫折はあとからいくらでも取り返しがつきますし、いわば世間が定義する一般企業の正社員といった「普通の社会人」になることも十分に可能です。

実際に高校をやめざるを得ないぐらい追い込まれてしまった当事者にとっては、人生の一大決心であり、鬼気迫る思いで、「生きるか、死ぬか」の重大な決断に感じられると思います。でも、実際は高校中退しても挽回する機会はいくらでもありますし、成功者もたくさんいます。むしろそのときには全然考えもしなかった大事なものを失うことにあとから気づくことへの後悔がきついでしょう。

高校を中退することで二度と取り返せないものもありますが、それら失うものを理解した上で、埋め合わせるような、挽回できる生き方を取れればいいわけです。

高校を中退して失ったものはあとから気づく

では、高校を中退することで失うものとは何でしょうか。

それは高校生活そのもの、普通の青春です。

なんだ、そんなことか。でも、それが嫌だから中退したのでは?と思われたかもしれません。しかし、これは中退を決断した当時は良かったとしても、年数を経ていくに連れ、だんだん大きなものに思えてきます。部活動や友人関係、恋愛や青春といったその時にしか味わえない同世代同士の交わり、これが失われます。高校生活をなくすことで、普通の青春も同時に失われると言っても過言ではありません。

高校生活にはその時にしか味わえない人間関係があります。その人間関係に揉まれて自分の進路を考えたり、生涯付き合うことになるかけがえのない人ができたかもしれません。

私は精神的に追い詰められる形で高校中退してしまいましたが、この点、すごく取り返しがつかなかったと感じています。いや、当時は生きることに必死で、普通の高校生活を送る余裕なんてこれっぽっちも無かったわけですが、10代の多感な時期に人間関係が絶たれて孤独に一人の世界に陥ってしまったことの影響は大きく、今でも自分に大きな欠落があると感じますし、いわば普通に高校生活を送って卒業した人とのズレを感じることもあります(具体的には、世間一般に受け入れられているスポーツ系の青春ドラマや恋愛をテーマにした作品を素直な感性で楽しむことができなくなりました)。

知識やお金はあとからいくらでも取り返せますが、普通の高校生活を送るチャンスは人生に一度きりです

ですから、これから高校を中退する決断をする人は、「青春」が人よりも遠のく、手に入らない可能性を覚悟した上で、身近な人とのつながりや縁を大切に生きていってほしいと思います。私は高校を中退したことで、中学からの付き合いも断絶し、いわゆる地元の友達付き合いも一切ありません。友達がいなくても一人で生きていけると強がっていた時期もありますが…正直に言うと、やはり10代のころからのつながりがある人たちが素直に羨ましく思っています。

進路選択は非常に重要!後の人生に大きく響く決断を後悔しないために

では高校中退後、どのようにサバイバルしていくかについて見ていきましょう。まずは基本的なメンタル面についての話です。

高校中退者にとって、その後どうするかは今後の人生の活路を開くために最も大切な局面です。この思春期の進路選択の時期は非常に重要かつ繊細で、自分以外の周りの大人や知り合いの影響も非常に大きくなってきます。高校中退する人ほど周りに腹を割って相談できる人の存在が何よりも大切になりますが、精神的に不安定な時期でもあり難しさがあります。高校中退したことで、自己肯定感が損なわれ自意識過剰と自己否定のループに陥ってしまう人も多いでしょう。

まず、心構えとして以下の基本戦略を肝に命じてください。


・やりたいと思ったことに挑戦しておくこと。
・自分を信じること。
・妥協せずに自分で決断すること。
・社会参加を模索しつつ、身近な人間関係を大切にして視野を広く持つこと。
・普通のレールに戻ることに固執しないこと。

とにかくやりたいと思ったことを、自分を信じて、視野を広く持ち挑戦してください。色々と行動しているうちに、次第に自分がやってみたい、自分の人生を掛けたい領域が見えてきます。そして、もしやりたいことが何か技術が必要であり、クリエイティブな分野であれば、その専門技術が学べるところに進学してください。

心のエネルギーが枯渇し、引きこもりのように閉じこもる時期も必要だと思いますが、社会参加への意欲を持ち、身近な人間関係を大切にしてください。高校中退したぐらいで自分の人生を諦めないでください

やりたいことがない場合は、これまでの人生で楽しかったこと、嬉しかったこと、感動したものや心奪われ興味があったことを紙に書き出してみて、それに関連する分野を模索してください。やる気が出ないのは行動していないからです

社会的接点を持つ行動をとるのと並行して視野を広げるために、なりたい職業、理想の生活について、ネットやYoutubeで検索してみてください。ここで強調しておきたい一番やっては駄目なのは、普通というレールに戻ることに固執するあまり、漠然と進路選択を決めてしまうことです。要するになんとなくやりたいことが有るのだけれど、自分にできるのか自信がなく、周りの薦めでとりあえず高校中退=中卒の最終学歴を埋めるために大卒資格が取りたいから高卒認定(旧大検)をとって大学に進学するっていう流れはおすすめしません。家族を含む他人や一般常識に惑わされず、深く自己分析を行って本当に自分のやりたかったものに忠実になり、自分を信じて自分で進路を決断しましょう

普通のレールに戻ることに労力を使うよりも、個性を伸ばす方向に

このときの進路選択はその後の人生を大きく決定づけます。多くの普通の高校に通う人たちは同級生や進路指導の先生などと相談しながら進路を決めていくのかもしれませんが、高校中退者は一人で考え、狭い視野で決断しなくてはなりません。賢い両親や家族が身近にいて視野を広く持てればいいのですが、そうではない場合、一般的な進路指導(相談)を受けることができない高校中退者に大事なのは自分の可能性への気付きと、広い視野を持った自己理解に基づく今後の生き方戦略だと私は考えています。

生き方戦略と大層なことを言いましたが、軸はシンプルです。もうすでに高校を中退した時点で普通というレールから脱線したのですから、普通のレールに戻ろうと固執しないで一度しかない人生、自分のやりたいことに可能性を掛けてみるべきです。今の時代、大企業に入って生涯安定というルートは非常に狭き門で、自分の個性を生かしてクリエイティブに人生を生きる方が楽しいし、やりがいも感じられると私は考えています。

高校中退直後は可能性の塊であり、絶望や不安に沈んでいる場合ではありません。とにかく視野を広げてください。行動(チャレンジ)をしながら可能性を模索してください。人生に絶対確実な未来はなく、普通とされる人生があなたの人生に安心安全を保証してくれるものでもありません。一般的な人生から脱線したからこそ、自分の本心に妥協なく生きるべきです。

まずは高卒認定資格を取得し進学しよう。

私は高校中退者ほど大学や専門への進学を強くおすすめします。学校が嫌だから中退したのに、また学校に行くのか、と思われるかもしれませんが、そうです。高校を中退したからこそ、大学や専門教育を活用するべきです。大学不要論やら色々言う人もいますが、自分に特別な才能や、学校にどうしても行きたくないという信条があるのでなければ進学をしたほうがいいです。社会との接点を持つためにも、自分の視野を広げて世界を見るためにも、まずは進学を考えるのがベストだと思っています。

具体的には人生の次のステージに進む第一歩として、

高等学校卒業程度認定試験(高認、旧大学入学資格検定)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/

を取得することを最初のゴールにしてください。ちなみに、高認には科目別に合否判定がありますが、このとき合格したときの成績は今後の大学入学試験や留学のときに「高校時代の成績」として一生つきまとう重要なものなので、しっかり勉強して高い成績をとってください。

専攻は非常に重要!軽く考えてはいけない。進路先をどの分野にするかは非常に重要で深く自己分析しておくべき。

ここで一番重要なのが、進学をしたほうがいいと言うものの、軽い気持ちで自分の進路(専攻内容)を選んではいけないということです。周りに流されず、自分で決断してください。高校中退者ほど視野が狭くなりがちで、挫折感から自分以外の偏った意見や常識とされる考えに毒されがちです。しっかりと将来を見据えて、なりたい自分に近い理想の夢を体現した人の経歴、Youtubeなどのインタビュー映像資料、読書などを駆使して掴んで分析し、どうすれば自分が達成できるのか逆算してみてください。

自分の将来の仕事(キャリア)を決めた上で進学するのを前提にしてください。

特にクリエイターやものづくり、技術に興味がある人は必ず専門か芸術系大学、理系大学を目指すべきです。特別な才能がないならなおさら行くべきだと私は思います。内向的で感情的に繊細で敏感な人はクリエイティブやものづくりに興味がある人が多いと思います。まぁ、実際には私もこのタイプだったんですけど、私の家族はクリエイティブ分野とは全く無縁であり、高校での友人たちとの相談や進路指導を一度も経験したことがないので、誰にも相談できず、私自身はクリエイター志望でやりたいことが明確だったのにも関わらず、家族の反対と自信のなさも相まって妥協の末、普通の文系大学を選んでしまい結果としてその後の人生にとても苦労しました。

当時の私は、なぜ理系に男子が多く文系に女子が多いのかさえわかりませんでした。専門学校の存在は知っていても、芸術(クリエイティブ)系の「大学」があることも知りませんでした。理系や文系などの専攻分野の違いが日本において就活で選べる職種にも影響していることなど知りもしませんでした。広く専門分野を教養として学べる留学で視野を広げる選択肢も見えず、何のために大学に行くのかすらも分からず、なんとなく与えられた「新卒カード」というものを過信し、何を学べばどんな分野での職が得やすいのかの知識がまるでありませんでした。

社会に出てその分野の職業で活躍している人との交流や経歴を知るにつれ分かったことの一つに、人生がうまくいっている順風満帆な人ほど、彼らなりに悩みもあったとは思いますが10代のうちからしっかりと自分の進路を決め、正しい進路選びをして「新卒カード」を最大限有意義に使っているということです。

例えば、クリエイターをしつつサラリーマン生活を実現できる大手ゲーム会社などの新卒説明会では大学の専門分野は問わないと言っているけれど、あれを鵜呑みにしてはいけません。ライバルたちは美大芸大専門で腕を磨いてきた人たちであり、実質クリエイターとよばれる職種の新卒はそうした専門に学んだ人たちとの競争で狭き門です。

別に専門や芸術系大学に進学したからと言って、必ずしも作家やクリエイターになる必要はありませんが、そこで得られる気づきや交友関係、コネクションは大きな武器になります。

日本の場合、専攻を問わず「新卒カード」で総合職などにつければキャリアをスタートさせる事ができるため軽い気持ちで大学や進路の専攻内容を決めてしまいがちですが、海外では大学での専攻内容が仕事内容とマッチしているかが非常に重視されます。マッチしていない場合、相応の実務経験が必要であり、ビザの発行も降りにくくなります(海外の方が学歴社会と言われる所以であり、専攻内容とキャリアが一致していないとそもそもスタート地点に立つことすら難しい。)。

本人がやりたいことが明確に有るのに、両親や周囲が反対してしまうとその後の人生が大きく歪んでしまいます。ロケットや宇宙開発、建築に興味があるのに自分には数学ができないと妥協しないでください。イラストレーターやデザイナーとして大きなキャリアを花開かせたいのなら、同じライバルが集う美大芸大を目指してください。何事も決断は自分で選ぶべきで、たとえ失敗したとしても大きな学びになりますが、妥協をしてしまうとその後の人生に一生つきまとう後悔が生まれてきます。

10代での失敗はいくらでも取り返しがつく。そのときに夢を追わずして一体いつ追うのか。

ということです。

真面目に生きてて高校中退するぐらい追い込まれるような人は、いわば社会一般の普通のレールなんて合わないんです。アウトローならアウトローなりに技術や知的好奇心を思う存分に探求できる環境領域で自らの存在価値を発揮するべきだと私は考えます。

高校中退で持たざる者になったとしても、いくらでも取り返しがつく

私も高校中退から色々ありましたし、人生経験を積んできました。唯一絶対的なことは、高校中退程度で人は死にませんし、人生が駄目になるわけでもない、いくらでもその後の進路選択次第で成功できるということです。

日本の実業家である谷口愛さんは著書「どん底からでも人生は逆転できる」の中で、日本は目に見えない「持たざるもの」と「持つもの」の格差が非常に強く有ると述べています。私も10代の多感な時期に普通の人には味わえない大きな挫折を何度も味わったからすごくよくわかります。順風満帆に高校→大学→就職と行けたらどんなに良かったことだろうか。新卒で行きたい企業に行けた人たちがどれほど幸運であろうか。やりたいことが有るのに、妥協した上でのミスマッチした進路選択をしたがゆえの苦悩、空白期間が有るがゆえの就職活動の難しさ…それらの苦労を減らす上で高校中退者はより一層自分の将来のキャリアを真剣に考えぬく必要があります。

高校中退は一見大きなハンディに見えますが、見方を変えれば大きな個性になります。視野を広げ、将来のキャリアを見据えた上で、それにつながる進路選びを自分の本心に妥協せず行ってほしいと思います。

 
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