ポジティブな空想と夢見がちな目標設定を行うだけで満足してしまう人も多いのではないでしょうか。その夢や目標を現実に達成するべく、目標達成のための一つの思考法として、アメリカの心理学者ガブリエル・エッティンゲン博士のWOOPの法則というものがあります。
目次(Contents)
WOOPとはなにか
WOOPとは、Wish(希望と期待)、Outcome(得られる結果)、Obstacle(過程にある障害)、Plan(計画)の頭文字をとったもの。夢や目標を設定して終わりにするのではなく、もっと踏み込んで行動や障害を具体的に突き詰めて考えることで実現を目指す現実的なアプローチです。
Wish 希望と期待
自分が何を望んでいるのかを詳細に明確化します。現実的に達成可能かつ、周囲の人を巻き込む形(誰かが喜んでくれる)ような達成しやすい目標だと尚良いです。
Outcome 最善の結果
目標が叶えられたときにどのような結果が得られるのかを明確にします。ご褒美や報酬をイメージしやすくすることでモチベーションに繋がります。今勉強を頑張ることで志望校に受かるかもしれない、この間食を我慢することでダイエットに成功し体型が魅力的になりモテにつながるかもしれない、といった自分を鼓舞する結果をたくさん考えてみます。
Obstacle 過程にある障害
最も重要なポイントで、目標に向かう過程で障害となる要因をリストアップします。ついテレビやネット、ゲームに長時間費やしてしまったり、気分の落ち込みや不安、睡眠不足、誰かから話しかけられて集中力が途切れることだったり、様々な自分の目標を遠ざけ、行動を妨げる要素を書き出してみます。
Plan 計画
この段階で事前に予測した障害をどう克服するか具体的な行動計画を考えます。睡眠をしっかり取ることや、スマホの通知を切る、運動習慣を身につける、ネットやスマホの使用時間の制限、環境を変化させる、普段接する情報に気を払うなどいろんな対策を考え出してみます。
人は考えただけでなんとなく満足してしまう生き物
人は自分に甘く、気分の波に流されたり日々の疲れの中でだんだんと目標達成に向けての行動をサボりがちな生き物です。目標を立てただけで、夢がかなった自分をイメージしただけで気分的に満足してしまい、現実の行動に落とし込めない人ほど効果的な方法です。
WOOPは心理学的に実証研究がなされた方法であり、有効性が高い方法です。特徴としては障害を予測し、それに対して冷静に現実に即した対策行動を考えるところにあるでしょう。
ついつい自分は何のためにこの行動をしているのか?と惰性に陥りそうなときでも結果を書き出すことで、その行動から得られるメリットを想起しやすくなりモチベーションも保てます。
WOOPの考え方は、自分がどんなときに困難を覚えるのか、目標によってもたらされる結果は何なのか?冷静に分析することで現実的な一歩前進のための良いアプローチと言えるでしょう。
参考
・成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則 講談社 (2015/6/10)
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