人生の幸福を決定づける「人生をコントロールしている感覚」について

人生の幸福を最も決める「人生をコントロールしている感覚」について


様々な文献や書籍、研究などを紐解いて行くと人間にとって最も幸福を感じる要素は自分の人生を自分で操縦している感覚の有無、つまりは人生のコントロール感の強弱にあるのではないかとの思いに至ります。今回はそれについて考察してみました。

「自分で状況を変化させることができるという感覚」が持てると人は幸福で、ストレスにも強くなる。

自分で物事を決められること、自分で今ある状況に変化を起こせるという感覚(確信)は人に自信を持たせ、やる気と活力を漲らせます。自分で建てた計画や予想がちゃんと順序立って進んだ時や、何か自分で問題に対して取り組みそれを解決できた時は自分を誇らしく思えるでしょう。

心理学では「何か困難や予期できない状況に遭遇したとしても、自分には対処できるだろう」というアルバート・バンデューラが提唱した自己効力感という概念があります。自己効力感が高いほど人は幸福といえますが、結局はこの概念も自分で思い通りに状況をコントロールできる感覚に近いものがあります。

自分の裁量で状況を変えられるからこそ、実際には激務多忙の高いストレスがあるにも関わらず会社の上層部の人たちは普通の社員よりも幸福で毎日にやりがいを感じているはずです。一方で、単純労働者かつ非正規雇用の人たちは仕事の難度は低くなるものの、自分で自分の待遇や環境をコントロールできないぶん不幸を感じやすくなります。仕事が嫌いな人が考えがちな楽な仕事であればいいという考えは非常に危険で間違っていて、自分の裁量で物事をコントロールできるかどうかが仕事への満足度を大きく左右します。

進捗の原則から

以前私もレビューを書いたことがある「マネジャーの最も大切な仕事」という書籍では、マネジャーにとって最も重要な仕事は部下のモチベーション管理であり、そのためには日々の成果を何かしらの形で実感させてあげることが重要であるとしています。自分が今日取り組んだことがどこまで進んだのか目に見え、建設的なフィードバックがもらえる環境だと人は熱心に物事に取り組めるのです。

自分一人で何かを成し遂げようとしたり、独学で何か挫折しそうになるのはこの自分の努力や活動(行動)に対してのフィードバックが不足するからであり、自分が前に進んでいるのか、停滞しているのか、はたまた後退しているのかが見えなくなる状況は人を不安定にさせ、物事へ取り組む意欲を奪っていきます

ゲームはモチベーションを考える上で非常に有益な教材

ゲームをしない人にはなぜこんな無意味な活動に時間を使うのか?と思われてしまうゲームですが、この分野は人のモチベーションを考える上で最強の教材となります(ゲーミフィケーションという分野)。

ゲームには何千何万回の周回作業や何時間にも及ぶレベリング作業、強敵との戦いなど現実にはお金をもらってもやりたくない作業を無給で人にやらせる魔力があります。これも全て人の本能的なモチベーションをゲームが刺激しているからです。

ゲームは何かが達成したことが非常にわかりやすく、綺麗なグラフィックと音でプレイヤーを喜ばせます。ゲームはプレイヤーが何か行動すると大量のフィードバックを与えてくれます。ゲームは他の受動的な娯楽と違って、自分で考えて状況を、世界をコントロールしていかなくてはなりません。現実世界だと無意味な苦役がゲームの世界では出来るというのは、人間にとってゲームが提供してくれる「操作してフィードバックがもらえてコントロールできる世界」というものがとても魅力的で、病みつきにさせるものだからです。

どうすれば人生のコントロール感が高められるのか

では、どうすれば人生のコントロール感が高められるのでしょう?ポイントは小さな成功体験とフィードバックを自分に与え続けることです。

具体的には自分で建てた計画を忠実に達成して行くことがコントロール感を高めます。1日が自分の予定通り、計画通りにスムーズ運ぶと気持ちがよくなります。1日のこの時間に何かをする、今日は何かを達成させるという自分で決めたルールに沿って、実際にそれが実践できたという成功体験をフィードバックとして積み重ねて行くことでコントロール感が養われます。重要なのが完璧主義に陥らず決して無理な目標を立てないことが肝となります。できない目標があったら細分化して、できる範囲にまで最小化しましょう。

そして小さなチャレンジに挑戦することです。自分にできる範囲で、ちょっと自分の枠を飛び出すような、少し自分が不安に感じるような行動を取ってみましょう。人見知りの人なら、しばらく連絡を取っていない知人に連絡をとってみる、というのも有効です。自分にとって負荷に感じるような物事を自分は無事乗り越えることができたぞ、不安な状況を自分の力で突破できたぞ、という小さな成功体験ですが、この積み重ねが重要です。

自分の人生のコントロール感が低下する状況を把握しよう

最後に、人生のコントロール感が低下する状況を自分でしっかりと把握しておきましょう。例えば失職や就職活動がうまくいかなかったこと、志望した学校や会社に入れなかった時に人は大きく無力感を覚えます。この無力感を引きずってしまうとますます行動をしなくなり、知人との連絡も取りづらくなり、人生に変化がもたらされなくなってますます人生に停滞感が増していきます。こうした挫折や失敗は人生につきものであり、よくあること。決して自分だけのものではない事実をはっきりと認識しておくことです。

そして自分でコントロールできない物事に執着しない、こだわらないということです。例えば日本ではエイジズムが非常に根深く、20代だから、30代だから、40代だから〜など年代や年齢という属性で自分の可能性や視野を強烈に絞ってしまいがちです。事実就活などの社会システムやメディアがそういったエイジズムに染まっているのが非常に危険であり、画一的な日本の学校教育を経た人であれば大なり小なり年齢という属性が重要なものとして感じてしまうことでしょう。しかし、年齢は自分でコントロールすることができません。そういった自分でコントロールできないものに執着することは無益でありいたずらに精神を消耗させるばかりです。

また、自分以外の他者もコントロールすることができません。誰か嫌な人(自分と合わないおかしな考えをする人)がいても、社会の理不尽さに辛酸を舐めたとしても、それらは自分でコントロールできないものなのです。だからこそそれらの自分にコントロールできない要素に執着するのではなく、今現在の自分にできることに集中しましょう

過去がどうであれ、今の自分がどのようなものであれ、今自分にできる最善のことだけに注意を向け、行動していけばいいのです。現在の自分にできる最善行動の積み重ねはうまくいかないこともあるかもしれませんが、それでもめげずに、無理のない範囲で粘り強く行動を積み重ねて行くうちに確実に人生に変化が起こっていきます。そして長期的にみてそれは自分の人生を自分でコントロールして行く感覚につながっていくのです。

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