前回の記事では、高校中退しても普通の社会復帰は可能だから自分の人生を諦めないこと、将来のキャリアを見据えた上でしっかりと自分の進路を自分で考え決めること(自分の進路を軽く考えてはいけない)についての内容を書いたので、今回はより実践的具体例を交えて前回の補足と進学を希望した場合の勉強法などについてまとめていこうと思う。
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自分の進路選択を甘く見ず、専門技術を学ぶ環境に飛び込んだほうがいいわけ
具体例として、自己分析の結果、将来のキャリアでゲームクリエイターを志した場合を見てみよう。以下の動画を見てほしい。
上記動画はゲーム業界の大ベテランで数多くのヒットゲームを生み出した元カプコンの岡本吉起さんのYoutube動画で、ゲームクリエイターになるためには相応の期間の努力と準備が必要であるかを述べられている。
私の経験から言ってもそうで、これはゲーム業界に限らずどんなクリエイティブな(手に職系の)職業にも当てはまると思う。
自分の場合、ゲームサウンドクリエイターになる夢があったものの、両親の反対と自信のなさもあり、「高校中退(=中卒)という学歴も有るし、普通大学に行きながら(大卒という資格をとりながら)並行して作曲や音楽をやればいいや」と考えてしまった。任天堂の新卒就職説明会や公式ホームページでの先輩紹介を見ると、特に作曲を専門に学んでいなかった人でもサウンドの職につけているから、自分でもいけるのではないかと考えてしまった。
これが大間違い。岡本さんの動画を見ていただいたなら分かる通り倍率は4500倍かそれ以上はあるだろうし、実際、こういうクリエイティブ分野の職はただ特別な資格が不要なだけであり、新卒といえども高度な技術が必要な専門職であることは間違いない。ライバルたちは専門で学んだ音大や専門生なのだから、普通大学でマイペースに音楽活動していても就活がうまくいくはずがない。希望的観測に基づいた就職活動はまずうまく行かないだろう、ということを人生の早い段階で知っておくことが重要だ。
高校中退者ほど周りとの交流がなくなり、自分の思い込みで視野が狭くなりがちだ。そのため、自分の将来を悪い意味でどうにかなるだろうと楽観視してしまって、こんな自分でもいけるんじゃないかとキャリアを甘く見積もってしまう罠がある。だからこそ、才能に自信がないけど夢はある人ほど専門やそれ関連の技術が学べる大学に行くべきであると私は思うし、もしそこで自分と周りの才能をみながら、自分がやれるのであればやりきればいいし、やっぱり違う(自分に向いていない)のであればまた別の道を模索すればいい。何にせよ、肝心なのは一度自分の目標とする夢に勝負しないと、いつまで経っても未練が残るので未練をなくすように努力をしておくことだ。(専門や大学に行き、ライバルたちと比較して自分は向いていないと思うのなら、それに気づけただけでも大きな成果である。)
今はゲームクリエイターとYoutubeで検索すればそれに関する情報がたくさん出るので、本当に恵まれた時代だと思う(参考:Youtube)。私の時代はYoutubeなんてなくて、検索しても見つかるのはネットの掲示板の偏った意見や専門学校のページばかりだった。
普通の会社員になりたいのであれば、普通に大学に行けばいい。高校中退者でも大卒の新卒カードさえあれば一気に普通のレールに戻れるチャンスがある。
前回のサバイバルマニュアルでは普通のレールにこだわるな、と書いたけれど深く自己分析をした上で、自分には本当にやりたいことも特に無いし、それこそモラトリアムのような感じで学生生活を送って普通の会社員になりたい人もいるだろう。
その場合は、普通に大学に行って、普通に就活すればいい。日本の場合、新卒カードで専攻分野を問わず、どんな企業でも受けることができる。高校中退しても、大卒になって新卒で就職すれば立派な社会人として社会復帰できる。ただし何度も書いたように普通大学(特に専門とは関係ない文系分野)から実質的な専門職である手に職系(クリエイティブ系)のデザイナーや建築家、サウンドクリエイター(音楽関連)などにはよほど才能がある人でないとなれないと思ったほうがいい。
また、日本は表向きは年齢制限など無いように見えるが、実質的には世界でも有数の年齢で人を差別する国民性で、大手企業ほど新卒でも年齢を気にする傾向がある。新卒カードが有るときに中小含めて就活し就職すること、大手にこだわらないこと、大手企業のブランドの魅力にとりつかれないこと、つまり大手病にならないことも大切だ。大企業・有名企業にこだわらなければ30歳を超えても留学して新卒から中小企業に就職する人もいる。心理学の研究の知見では職場の幸福で大事なのは職場のブランドではなく職場での人間関係だという。新卒の段階でどこかしらに就職することができれば、それだけでもう立派に社会復帰できたといえるだろう。(高校中退という大きな挫折をしたからこそ、誰もが認める大学や企業に行って周りを見返したいという心理が働くのもすごくわかるので、挑戦すること自体は間違っていない。)
高校中退者の学習法 個別指導学習がおすすめ。一般的な予備校はまったくもっておすすめしない。
高校中退者にとって、大きく悩むのが進学のための学習法・勉強法だと思う。私は前回の記事でも書いたように勉強の楽しさに目覚めたのが遅く、全然出来なかったし自信もなかった。身内にも相談できる人や、頼れる人がいない状況だったからすべて手探りの状態だった。貴重な10代後半の時期を全て犠牲にしてかなり苦労して遠回りをしてきたので、今だからこそ書けるような気づきを記していきたい。(先にも書いたように、手に職を目指すのであればその分野の専門を目指すべきで、以下に書くのは私が妥協の末普通大学を目指す上で見出した気づきである。)
進学の前提となる高卒認定(高等学校卒業程度認定試験、旧大検)の取得は文部科学省の方で落ちこぼれの人たちを救うという目的が有るから、すごく合格基準が優しくなっている。そのこともあり、私は独学でほとんど過去問だけで突破したのだけれど、ギリギリ合格の科目もあった。合格はしたもののそこでの成績(科目別の試験の点数)は生涯つきまとう「高校時代の成績」として扱われるから全力で良い成績を取るようにしておこう。(高校時代の成績として留学などで大きく見られる部分でもあり、そもそも最初のステップとして良い成績で合格を目指すことは自身の成功体験を得る上でも非常に有益なのでしっかり勉強して望みたい。)
高校中退者がこれからどう勉強を行っていくのか、私の気付きとしては以下のものがある。
・高卒認定を取得したとしても、高校生活で学び得る内容と同等にはならない。
・高校教育を受けていない事実は変わらず、予備校に通おうと、参考書をいくらかき集めても高校で学ぶことの代わりにはならない。
・高卒認定(旧大検)を取得すると予備校などで高校を卒業したみたいな扱いになるが、実質中卒と同じであることを念頭に入れておく(高校教育と予備校は全くの別物)。
・東京大学など名門大学に行く人は高校での勉強をしっかりと行い、基礎をマスターしてきた人が多い。(特に地方高校出身者は高校の内容を丹念に、完璧にしてきている。)
まず、私が行ったのは高校の教科書を集めること。当時はわざわざ教科書専門店まで買いに行ったが、教科書というものは授業が前提なのでほとんど役に立たなかった。その後ネットで調べた各種大学受験の参考書をたくさん買い集めたのだが、やはり高校で学ぶ内容の代わりにはならないばかりで、テクニックだったり上辺だけの知識が身につくばかりで、根本の高校の学力を身につけるのは非常に苦労した。
名門大学に行く人ほど、しっかりした高校を出ているという揺るぎない事実がある。当時は知らなかったが、高校というのは大学受験をする(行ける大学のランクを決定づける)上でそれほど大切な場所なのだ。まずは高校で学ぶ内容をしっかり抑えることが結果的に大学合格につながる一番の近道だと思っている。
指導者がいない高校中退者は大学受験の前提知識である高校で学ぶ学習範囲の知識・前提が欠落した状態で大学受験をすることとなる。高校を出ていないのだから当たり前なのだが、この事実は意外な盲点でもあって、高卒認定を取得したことで自分の学力を甘く見積もってしまうし、予備校や参考書、問題集をやれば高校で学ぶ内容の穴埋めになるとその時は思うけれど、事実そうではなく、特に国語(現代文)、古典、漢文分野でその影響を実感すると思う。正直、私は大学を卒業した今でも高校時代の理系の内容やら国語の教養やらが欠落しているというコンプレクスを未だに感じている(言い換えれば、どれほど本を読もうが高校の授業の代わりにはならないということ)。この理解があるかないかでその後の学習のしやすさも変わってくる
だからこそ、高校中退者に予備校は本当におすすめしない。私は2つほど予備校に通ったのでその経験も記していこう。
予備校時代の経験による気づき
私が最初に利用したのは毎年春頃に大規模な広告を打つ四谷学院である。四谷学院は高校中退から大学受験までサポートするコースをやっていて、一人でもがいていた私はそこに飛びついたのだ。
しかし、途中からの参加となってしまったので、授業にはちんぷんかんぷんでついていけず、同じ高校中退者の仲間ができることも期待したけれどすでにグループが出来ており疎外感を感じてしまって、授業にはほとんど行かなくなってしまった。あと四谷学院の方針なのかは知らないが、とにかく授業中に指したりする先生が多くて、社会復帰もままならない当時の人見知りで神経質な自分にはとてもじゃないがストレスとプレッシャーが高かった。
ただ、55段階個別指導はとても良かった。自分で学習計画を立て、学習することの大きな最初の一歩になったと思う。ほとんど55段階の内容を自分のペースで学ぶことでマーチ(GMARCH)クラスの大学ならここの55段階と過去問と問題集をこなせば十分に合格圏に達せられる確信はある。四谷学院での体験は高校中退者に必要なのは自分にあった個別指導が最強だと思う根拠にもなっている。
ただ私の場合、結果として四谷学院の結果は失敗に終わった。私は高校中退したからこそ、偏差値がとても高い、一流名門とされる大学に行きたいと強くこだわってしまったため、一つのかなり難易度の高い志望大学しか受けなかった(高校中退者の視野の狭さの悪い癖が出ている)。結果は失敗。その後、自分で学習する習慣と勉強の面白さが目覚めつつあり、私にとって予備校はもう不要で、本来なら宅浪をしたかったのだが、無理やり河合塾に通わされてしまった(私の両親は私の夢への投資はしないくせに、予備校とかにはお金を出すというまったくもって理解がない人だった)。
無理やり通わされることとなった河合塾だが、河合塾はまったくもって役に立たず、学費と貴重な人生をムダにしてしまったと感じている。むしろ人格が歪み、人生でも暗黒期だったと思っている…。今でも忘れられないのが一人の英語講師が非常に高圧的で、浪人生を見下し、人でないような扱いをする人だった。講義時間の7割はネガティブで不安を煽る雑談ばかりで、あれから何年もたった今でも思い返すとイライラする体験をした。その後留学で知り合った河合塾に通っていた人も同じ講師のことで話が通じたので、ああ悪い意味で有名なんだろうな、と思った。
河合塾の結果は悲惨なもので、第一志望はまたしても敗北。更には英語の成績はむしろ四谷学院の頃の方が良かったという始末。断腸の思いで志望大学のランクを落として妥協したのだが、10代の貴重な期間、夢を追うことも諦めてすべてを犠牲にした結果が失敗となったことはいつまでも人生の汚点として残ることとなったうえに、河合塾の害悪講師の影響で学歴に関してのコンプレックスがひどく、その後も時折フラッシュバックに悩まされることとなってしまった。
高校中退者にとって、ここで挙げた河合塾の害悪講師のような高圧的で差別的な人がいたらすぐに拒否することも大切である。私が「東大王」など東大生や高学歴を扱うバラエティ番組を素直な気持ちで見られず、過度に学歴コンプレックスや学校のランクを気にするように歪んでしまったのも、このときに植え付けられたものだといって過言ではないし、一度歪んでしまうとなかなか挽回するのは難しい。ただでさえ高校中退者は孤立しがちで、付き合う人間も限られているのだから、付き合う人間(講師)がこのような欠落した人間だとその後の人生に及ぶ悪影響を及ぼしがちなのだ。
総合的に、四谷学院は自分のペースで学ぶ55段階があったから、高校中退後のリハビリ期間という意味付けで高い学費も全部無駄になったとは思わないが、河合塾は完全に失敗だったと思っている。
四谷学院でも河合塾でもそうだが、予備校では高卒認定を取得すると扱いは自動的に既卒認定となり、「既卒コース」に入ることになる。この「既卒コース」は一通り高校で学んだことがあることを前提としているため、カリキュラムが画一的で表面的なものばかりでその科目の根本的な理解に結びつかない上につまらない。一般的な予備校は高校の授業を受けていない高校中退者には合わないと私の経験上強く感じている。前提とされる高校課程の知識が無いのだから当然なのだけれど、当事者で普通に予備校に通うとこの大きな事実に気づきにくいのだ。ただ問題演習をしていても根本の「高校の学力」は予備校では身につかない。予備校はあくまで予備の学校。私の感覚では英語圏で言うprep schoolみたいな立派な教育機関と呼ぶには大げさすぎる、ただの受験ビジネスのムダな組織でしか無いと思っている。
自分一人でできるなら、自分で学ぶ。高校中退者に理解が有る教育機関を利用できるのがベストだと思う。
私個人の経験から、いわゆるマーチレベルの大学ならマジメにコツコツと勉強していけば誰でも行けると思う。いかに勉強の習慣を身につけるか、ストレスなく睡眠をしっかり取りつつ問題集や過去問をこなしてやるべきことをしっかりやっていけるかが重要だと思う。そのために高校中退者に理解が有るサポート組織や個別指導に依頼するのもありだと思う。(予備校はもともとレベルの高い高校に行っていた人が良い大学に受かるためにサポート的に利用するのであって、高校中退者には不要。)
できれば指導者にその科目の面白さ、醍醐味を教えられる能力があると尚良いが、そうそう見つからないのも事実だ。基本はこれと決めた問題集と過去問をなんども繰り返すことになるだろう。高校中退者でも何度も問題演習を行って、基礎さえしっかりと固まれば過去問対策で比較的偏差値の良い大学には行けると思う(これまで書いてこなかったが、偏差値の良い大学に行ったほうが付き合う人たちも変わるので、野心が有る高校中退者ほど志望する大学のレベルはあまり妥協しすぎないほうが良い。)。
孤独に勉強に打ち込むメンタル面でのモチベーションや情緒安定性が大事で、ネットの掲示板(ミルクカフェやら5ch)に場を求めて視野を狭くしたり学歴コンプレックスを悪化させるのではなく、Youtubeなどで関連する科目や将来の目標のことを検索すると大いに刺激になると思う。
私の高校中退後の時期は人生でも特に何度も失敗を積み重ねた暗黒期だったけれど、高校中退程度の挫折はいくらでも取り返しがつくと確信している。方向性を定めた正しい努力を積み重ねれば必ず道は開けてくるので、今あなたがどんな状況であろうとも、自分の人生を諦めないでほしいと思う。