イタリア、ローマのボルゲーゼ美術館に所蔵されているジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)作「プロセルピナの略奪」(1622)について紹介します。
この作品はバロック時代を代表する彫刻家ベルニーニ23歳頃の作品で、冥界の王ハデス(プルートー)に見初められた大地の女王の娘プロセルピナが黄泉の国にさらわれていく様子を描いたものです。モチーフは古代ローマ時代の詩人、オイディウスによって書かれた「メタモルフォーゼス(転身物語)」です。英語だと「The Rape of Proserpina」なので、日本語から受ける印象よりも生々しく、暴力的ですね。
この圧倒的迫力!大理石彫刻とは思えないほどの柔らかい指の食い込み表現は圧巻です。ほんとに石なの?ってぐらい柔らかく食い込んでいます。見ているだけで場面に引き込まれますね。デッサンの対象にも良い作品でしょう。いつか実物を見に行きたいと思う作品です。
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