絵本作家で挿絵やイラストなども手がけている酒井駒子さんの画集が発売されていたとのことで、早速入手しました。酒井駒子さんは独特の静けさや切なさを感じる儚い画風が特徴で、どこか暗い影のある雰囲気を感じさせつつも、上品で美しい作品を生み出しています。
9年ぐらい前から彼女の作品を集めていた

酒井駒子さんを知ったのは9年ぐらい前のこと。当時の私は彼女の絵が持つ独自のタッチに魅了され、画集を探したものの発売される様子がなかったので、Amazonなどでコツコツと彼女が手がけた作品を彼女の絵目的で買い集めてきました。
描かれる対象としては子供と小動物が多く、大人は少なめです。写実的に描かれた画面は余白と黒が多く使われているのが特徴で、静けさと落ち着きのある空気感を醸し出しています。


なかなか見かけることができないラフ(素描)もある程度掲載されているのもポイントが高いです。私はこうしたラフからどのように作品が形成されているのかを考えるのが好きです。

これまでの作品がほぼ全て網羅されている決定版と言える作品集。ただ、画集として考えるとサイズが小さく、余白が多い。

作品集としては、これまでの作品がほぼ網羅されているので十分満足な出来栄えです。本の装丁もおしゃれで、モノとして所持しておきたい所有欲も満たせます。
難点があるとすれば本それ自体のサイズが小さく、収録されている作品も余白を多く取られているのでせっかくの作品の見栄えがどこか物足りないと感じるところでしょうか。作品それ自体を主役としてみせる画集という作りではなく、おしゃれに身なりを整えた上品なカタログ集…といえばいいでしょうか。本のサイズがこじんまりとしているから見開きページの作品も迫力がなく、どれも小さくまとまってしまっています。結局作品それを鑑賞するには元の絵本や酒井駒子さんがかつて特集された雑誌(Pooka+)を閲覧した方がよほど良いと思いました(元の作品は大きく迫力があり、見応えがあります)。


「画集」としての欠点もあるとはいえ、ようやく出た作品集なので彼女の作品が気に入った人なら手にとって見るのがおすすめです。個人的には酒井駒子さんの画力を示すためにも余白を減らしてもっと作品(本)自体の大きさとラフスケッチを増やしていただけたらより良かったと思います。次回の画集に期待しています。