ウェルテル効果とネガティブなニュースの心理影響について

ウェルテル効果(Werther effect)とはテレビやメディアなどの報道で凶悪事件や犯罪が流れることによって、それに追随して似たような行動を起こす人が増加してしまう現象です。社会学者のDavid P. Phillipsが名付け、主に自殺の報道量と実際に起こる自殺率が相関していることを突き止めました。

なぜウェルテル効果と呼ぶのか?

ウェルテルの名前の由来はドイツの文豪ゲーテの著作「若きウェルテルの悩み(1774年)」に由来しています。この小説の中で主人公ウェルテルは最終的にピストル自殺してしまうのですが、当時この描写に触発されて多くの若者が自殺に追従してしまったと言います。これが大きな社会問題となり、「若きウェルテルの悩み」はいくつかの国で発禁処分となったほどです。

メディアのネガティブな報道の意図

テレビなどで自殺や凶悪事件が報道されるのはネガティブな感情を呼びますが、私たちはその報道の合間に挟まれるCMを見る事で日常感を取り戻し、ホッとする心理があります。そのホッとした心理が商品への愛着や購買行動に繋がるため、テレビは頻繁にこうした凶悪事件や負の感情を呼ぶネガティブで暴力的なニュースを流す側面があります。

また、こうした暴力的な報道を見る事で私たちは無意識に受動ストレスを感じています。この受動ストレスは脳の中のワーキングメモリーを占有して、脳機能の低下につながり判断力などが鈍ったりします。私たちはこうした受動ストレスを解消するために買い物や購買行動を起こすので、メディアは積極的にネガティブなニュースを流しているのですね。

受動ストレスに気をつけ、無駄にネガティブな感情を煽るような情報には接しないことが重要です。そうしたニュースと接したあとは無意識に買い物やドカ食いなどが増えているかも知れません。

参考・出典

ウェルテル効果(Wikipedia)

 
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