聞き上手になるための全ステップ。傾聴テクニックまとめ。


人間関係で相手から信頼される上で最も重要なのが「相手の話を聞く傾聴の力」です。自分では出来ていると思っていても、実際出来ている人はとても少ない分野です。傾聴の力を磨くことで人脈作りに活かせることはもちろん、営業や接待、交渉ごとがうまくいくようになります。臨床心理学では傾聴を究めることがセラピストにとって欠かせない素質となります。この相手の話を聞く力「傾聴スキル」を鍛えるにはどうすれば良いのでしょうか。

傾聴の4つの基本:判断しない、聴いていることを態度で示す、相手の言いたいことをまとめて伝える、相手の言いたいことを引き出す質問をする。

傾聴の軸は共感にあります。相手に共感を示す為に押さえるべきポイントとはどういうものでしょうか?

1.批判しない。判断しない。

傾聴するに当たって、「口出し、反論、評価」は禁止です。「その事はもう知っているよ」とか、「それはいいね、それは良くないね」など主観的評価・判断をいれずに、聞く側は相手の意見をありのまま尊重する態度が求められます。相手の感情をそのまま受け入れてあげます。

2.短く定期的に頷いたり、相づちを行う。

いくら口出しや評価をしてはいけないからと言って、ただ黙っているのではいけません。傾聴には相づちも必要になります。「ふむふむ、おー、なるほど。」など、何かしらの軽いリアクションを相手の息継ぎのタイミングで行うことが効果的となります。相手の気持ちや感情、言葉をしっかりと受け止めていますよ〜という事を態度で示してあげる事です。

3.相手の言いたいことのまとめを挟む。

会話が進んだら、相手の言ったことを短くまとめて確認を取りましょう。注意しなくてはいけないのは、「要するに」とか、「つまりこういうこと?」など自分の主観でまとめるのではないということです。相手の言いたいこと、話したい内容に沿って、相手の言った内容について自分が誤解していないかを確認するために、「あなたの言ったことだと〜という事になりますが、その理解で合っていますか?」と、あくまでも相手の言いたいことを要約して伝えることに徹してください。傾聴の軸は共感にありますから、相手の主張を自分は知りたい、分かりたいという態度を示すことが傾聴となります。

4.手短な質問を繰り返して、相手の話を引き出し、相手に話を聞いている態度を印象づける。

相手が話したい内容を更に引き出すような短い質問をするのも傾聴には必要です。重要なのは、自分が知りたい・聞きたいことではなく、相手が話したいことについての質問ということです。相手がゆっくり話していたり、もったいぶっている箇所は相手が話したい事であることが多く、こうした相手の質問して欲しいシグナルを見逃さないようにします。うまく質問できる力は面接力や営業成績、接待力に大きく繋がります。人は自分の事を知って貰いたい生き物…ということは、相手はうまく質問されることで、より気持ち良く喋ることが出来ます。

傾聴応用テクニック:オープンクエスチョン、間、相づち、繰り返し

上記の傾聴の基本がある程度出来てきたら、より上手く傾聴ができるように以下のポイントを意識すると良いでしょう。傾聴を究めることでどんな人が相手でも仲良くなれる…といっても過言ではありません。

1.質問をする時はオープンクエスチョンで
質問には2種類あり、「はい、いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンと答えられないオープンクエスチョンがあります。例えば「あなたはゲームが好きですか?」は「はい、いいえ」で答えられるのでクローズドクエスチョンです。オープンクエスチョンは、「あなたはそのゲームのどこに惹かれたのですか?」などで、「はい、いいえ」で答えられず、相手から更なるストーリーや新しい情報を引き出せるような質問です。オープンクエスチョンは相手に喋らせるための質問と考えても良いでしょう。

2.わざと間をつくる。
相手も話し続けると疲れてしまうので、相手が話疲れたタイミングで、「実は自分もそのことであなたと相談したいことがあって」などの悩み相談(自己開示)や「あなたの仰っている内容に関して聞いて貰いたい事があります」などの適切な話題を持ち出します。相手が自分にアドバイスをしたくなるようなオープンクエスチョンを挟むことで会話の糸口を結び、次の会話を膨らませます。相手の会話に一呼吸持たせることで更に相手に気持ちよく喋らせます。

3.相手の顔を見て短い相づちを頻繁に挟み込む
相づちやリアクションはとても重要。人は同意を求めるときに相手の顔を見るので、特に相手がこちらを見た瞬間に相づちを行うと効果的です。「分かります」「なるほど」「はぁ!」「そういうことですか!」などの大げさなリアクションをちょいちょい入れましょう。これが出来ないと無愛想な人になってしまいます(ムスッとしがちな人は要注意です)。

4.相手が最後に言ったフレーズを繰り返す。ミミッキング。
人は気持ちよく喋っていくうちに、自分の喋った内容を忘れてしまうもの。そのため、より親密な印象を与えるために相手の言った内容をそのままオウム返しに繰り返してあげましょう(ミミッキング)。そうすることで相手に強く「話を聞いてくれている人だ」と印象づける事が出来ます。ミミッキングは意識すれば簡単にできるので試して見ましょう!

5.相手のストーリーに感情の言葉を付けて相手に伝える
これは相手の話から相手が抱いた感情を想像し、それを相手に伝えてあげることです。相手の話したストーリーに沿って相手がどんな感情を持ったか、もし自分が相手の立場になっていたらどう思うのかを具体的な言葉で描写します(「それはお辛かったでしょう」「それはテンション上がりますね」「そんなに嬉しいことはなかったのでありませんか?」など)。語彙力や共感力が最も試されるテクニックですが、うまく行くととても強力で、相手からの信頼度を一気に高める事も出来ます。

交渉ごとがうまい人は質問上手。相手がどういう身の回りをしていて、処遇を受け、環境にいるのかを知り、「自分が相手と同じ立場だったら…。」を考えていきます。こうした共感力は良質なストーリーに触れる事で高めることができ、共感力はコミュニケーション力の土台となります。(ちなみにゲームが好きで共感力を高めるストーリーを体験したいのであれば、デトロイトビカムヒューマンはかなりお勧めです。)

まとめ 傾聴力は共感力。上手く人生を立ち回るために必要な力。

主観やアドバイスを入れず、聞くことに徹する姿勢はアドラー心理学とも通じる内容です。傾聴は共感をベースにしていますが、見方を変えれば「いかに相手に気持ちよく喋って貰うか」のテクニックです。傾聴がうまく出来ると相手が自分への信用を高め(心理学ではラポールという)、建設的な議論も可能になります。傾聴はぜひ意識して身に付けていきたいテクニックと言えますね。

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参考・出典

・「プロカウンセラーの聞く技術」 東山紘久 (著) 創元社 (2000/9/20)
・「プロカウンセラーが教える 場面別 傾聴術レッスン」 古宮 昇 (監修) ナツメ社 (2015/7/9)
・「傾聴のコツ: 話を「否定せず、遮らず、拒まず」」 (知的生きかた文庫) 金田 諦應 (著) 三笠書房 (2018/12/22)
・「面接官の心を操れ! 無敵の就職心理戦略」メンタリスト DaiGo (著) KADOKAWA (2017/3/23)
How to Negotiate Using the FBI’s 5-Step Hostage Strategy | Inc.com
FBI Negotiation Techniques Part 1 – Active Listening

 
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