アンカリング効果とは?直前の情報や数値を基準に判断してしまうこと。

アンカリング効果とは?直前に参照した数値を基準として判断してしまうこと。
今回はマーケティングや交渉などでよく使われているアンカリング効果についてまとめます。

アンカリング効果とは?

アンカリング効果とは、先に見た情報・数値によって後でみた情報・数値を判断する基準が変わることです。例えばセールスの場面で、定価15万円の所、お買い求め易い1万9000円でのご提供です!と言われると随分とお買い得な感じがすると思います。

人は何かを比較する時に自分の持っている情報から判断します。思っている以上に人は直前に触れた情報に判断が引っ張られる事が多いのです。アンカリング効果は前回まとめた経験則(ヒューリスティック)が起こす認知バイアスの一つであると考えられます。
関連「経験から導き出される法則ヒューリスティックとは?+その問題点について

アンカリングの名の由来は船の碇(いかり)=anchor(アンカー)からきていて、判断する人の心理の中で最初の情報を基準にするところが碇を降ろすことと似ているから付けられたと考えられます。あらかじめ提示された数値を基準(アンカー)に自分の判断基準がその数値付近に引っ張られてしまうことです。

活用例:最初に印象的な情報を与える

お得な情報を強調したければ、まずは元の価格をしっかり印象づけ、どれほど安くなったのかのギャップを狙うのが重要です。(もちろんやり過ぎには注意が必要ですが)

納期を設定する場合は、敢えて大きく見積もります。3ヶ月後に終わらせられると請け負った仕事を1ヶ月に終わらせることが出来れば仕事が早いという印象を受けるでしょう。

株取引やメリカリといった価格が変動する分野ではずっと同じ価格を見ているとその価格が基準になって高い、安いを判断します。株では高値覚え、安値覚えと言って自分が買ったときの値段を基準にしますし、メルカリでは価格を高く設定した後で値下げをすると売れる事もあります。

そう考えると学校が休みになった時のうれしさは、それがあるものだと覚悟していたものが無くなった事による開放感から来ているのかもしれません。

まとめ:アンカリング効果は上手く使えば印象操作に使える

アンカリング効果を上手く使えば印象を操作することが出来ます。多くの場合、商品価値の分野(マーケティング)で使われていますが、人間関係でも応用ができます。第一印象が最も重要だと言われるのも「この人はどういう人か」という情報が相手にとっての基準となるからですね。アンカリング効果は対象の人がその分野に関する情報が無いときに特に有効です。

日常生活では遅刻をせざるを得ないときでもあらかじめ大きく遅れることを伝えて、実際にはそれよりも早く到着すれば少しは許して貰えるかも…?仕事を請けるときにはなるべく大きく期限を見積もったほうがいいですね。

参考・出典

・「予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」 ダンアリエリー(著), 熊谷 淳子 (翻訳) 早川書房 (2013/8/22)
Anchoring(Wikipedia)
Tversky, A; Kahneman, D (September 27, 1974). “Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases” (PDF)

 
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