書評「週40時間の自由をつくる超時間術」メンタリストDaiGo[著] 不安と焦りの感情に着眼したこれまでに無い時間術の本

今回は時間術についてメンタリストDaiGoさんの本のレビューです。ただの時間術のテクニック本では無く、なぜ人は時間不足を感じるのかその根本要因に焦点を当てたこれまでに無い本です。

書誌情報

「週40時間の自由をつくる超時間術」メンタリストDaiGo
実務教育出版 (2018/3/30)
ISBN-13: 978-4788914728

なぜこの本を手に取ったのか

私は自由業のような形で普段過ごしており、会社に縛られない分日常生活での時間管理がとても重要になってきます。比較的自由に毎日を過ごせる反面、時間管理だったり、今日はどのペースまで何を進めるのかだったりを自分で決めなくてはなりません。毎日することや、やりたいことも多いため年中時間不足の感覚に悩まされていました。そんな中、時間術の本で根本的な時間不足の原因とは何かを扱った本書を見つけ手に取りました。

焦りと不安が時間不足の感覚を生み出している。

この本はタイトルの通り、時間術についての話ですが他の本と違ってユニークな点があります。それは、根本的な時間不足の原因が不安と焦りの感情にあると指摘していることです。本書によれば、現代人は時間は十分あるにも関わらず、時間不足の感覚を常に抱えているとのこと。その原因が、不安と焦りの感情であり、それらの感情をどう対処していくかが詳細に書かれていました。

「あなたがうまく時間を使いこなせない理由は2つ。不安とストレスなのです。」本文9ページより引用

大きな原因として、「目標のぶつかりあいで生まれる不安」と「時間が細切れになったせいで起きるストレス」が述べられています。人が何かをしようとしたとき、その作業を中断されると脳にとって大きな負担となります。一度途切れた集中力は20分かけないと戻らない、と言われるぐらい人間の脳はマルチタスクには向いていないのです。これはまさに時間不足に悩む私が陥ってしまった状況で、あれもしたい、これもしたい状況が多く生まれてしまうと、結局どれにも集中できず一日を無為に過ごしてしまいがちでした。欲望のコンフリクト、すなわち両立しない目標や日課が複数ある状況が、不安と焦りの感情を呼び、慢性的な時間不足の感覚に繋がるのです

対策法はなにか

人間の不安と焦りの感情に焦点を当てているので、対処法は「呼吸法」に始まり、「リフレーミング(認知の枠組みのこと)」や「親切心」など、認知行動療法の知見を用いた方法が数多く紹介されています。他の時間術の本はこうした心理面には触れずに、計画の立て方や早起きをするといった小手先のテクニックを紹介しているだけのものが多いのですが、本書は心理学アプローチに基づいており、時間不足の根本的な原因である不安と焦りをどう改善していくのかに焦点を当てて対処法を伝えています。最終的に「時間ではなく、行動で自己管理をする」ことを目標としており、時間という概念に縛られるのではなく何を達成できたかによって自己管理をしていくかが大切とのことで、これは常に時間に縛られていた私にとって大きく心に響いた言葉でした。

総評

おすすめ度(10段階) ☆☆☆☆☆ ☆☆☆
時間不足の感覚を人間の不安と焦りの感情にあるとして、小手先のテクニックではなく、その大元となる感情の不安と焦りをいかに解決していくのかに着眼点を置いたこれまでにない時間術の本。多くのテクニックが載っているので、後は本書をどう実践していくかが重要になってきます。紹介されているテクニックは有用ではあるものの、細かくたくさん載っているので、一回読んで満足してしまい、一つ一つのテクニックを忘れてしまいそう。何度も読んで実践してこそ身につく部類の本です。文章はとても読みやすいので、疲れている時でも気負わずに軽い気持ちで読むことができます。

補遺

本書に限らず、メンタリストDaiGoさんの本は全てエビデンスベースド(科学的根拠)に基づいており本ブログでも見習いたい所です。海外の論文や科学的知見を上手に分かりやすく落とし込んだ良書です。

 
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