いやー、学習漫画に感動してしまった。今回はネットで評判が良かったポケモンの生みの親、田尻智さんの本です。学習漫画は馬鹿に出来ないですね。大人でも学べることがたくさんあります。
「学習まんがスペシャル ポケモンをつくった男 田尻智」 小学館 2018/05/21
目次(Contents)
ポケモンというメガヒットコンテンツを作った男の人生
ちょうど私が小学生のころ、リアルタイムでポケモンが口コミで広まりました。私はポケモン世代で、第一次ポケモンブームをリアルタイムで体験しています。そんな子供の時に感動を与えてくれたポケモンの生みの親である田尻智さんがケネディやらコロンブスといった歴史上の偉人が特集される学習まんがシリーズに出てくるなんて感慨深いし、嬉しいですね。
この本ではそんなポケモンの生みの親である田尻智さんがいかにポケモンを生み出すに至ったのかが語られています。
そのヒントとなる部分をまとめてみました。
1,好きを徹底的に極めること。
虫取り少年だった田尻さんは、他の人に無い創意工夫をして、取るのが難しいクワガタを効率良く採取できたそうです。研究熱心で、辞典なども読み込み、好きをとことん追求する少年だったそうです。中学生からインベーダーゲームに熱中しますが、いかに効率良くゲームを攻略できるかを考え、さらにはその研究成果を発表してシェアしていたそう。まさに今で言う攻略本、攻略サイトの先駆けとなる活動をしていました。
2,両親から好きなことを追求するようのびのびと育てられた。
田尻さんは両親からのびのびと好きなことを思う存分追求させてもらえたそうです。ゲームばかりに熱中すると親としては心配になりますが、大好きなゲームに没頭した結果、ゲームフリークの設立に至り、ポケモンというメガヒットコンテンツの誕生につながるのですから、どうなるかは分からないものですね。本人の好きを追求させてあげることが自由なクリエイティブな発想につながるのでしょう。
3,仲間の存在
忘れてはならないのが仲間の存在です。どんなにいいアイデアがあっても仲間の協力があってこそ形に出来るのがゲーム作りです。初代ポケモンの制作には6年の歳月がかかりましたが、なんと完成間近になって、過労のためプログラマーが全員やめてしまう事態に。その絶体絶命を救ってくれたのが増田順一さんでした。音楽担当の増田さんはプログラミングもその時から本格的に学びはじめ、チームの危機を救ったとのこと。
「何より僕はやりかけの仕事を途中で放り出すのが大きらいなんです!! だから絶対ポケモンを完成させたい!」
116ページより引用 増田順一さんの台詞
同じ目標を目指す、熱い志を持った仲間の存在は欠かせないのです。
4.すべての経験に無駄は無い
ポケモンには田尻さんの幼少期の虫取りをした経験が大いに活かされています。また、ゲームフリーク設立も中学時代にハマったインベーダーゲームがきっかけです。人生には無駄が無いんだな、とつくづく感じました。人生の経験はいかようにも活用できるのです。
私が思うポケモンの面白さは、ただの怪物ではないペットのような愛着が持てるモンスターデザインだったり、ゲームボーイの通信ケーブルを利用しての友達とのコミュニケーションだと思います。そのことについても本書の中でしっかりと語られていました。面白い体験の裏にはそれを作った人の苦悩があったのだな、とこの本を読んで今更ながらハッとしました。
「考え続ければ、必ず答えが見つかる。そうすれば道は拓けるんだ。」
田尻智 本体カバー裏より引用
総評
お勧め度(10段階) ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
子供でも、大人でもお勧めできる本です。何よりも、田尻さんの世界を変えるようなプロダクトへの熱意に心動かされました。
漫画だから読みやすい!だからといって、内容が薄いわけではありません。なんだか私も負けていられないな〜とやる気スイッチを押してくれた感じです。ゲーム作りに携わる人や、世界に向けてコンテンツを作りたい人には必読書だと思います。子供向けだからといって読まないのはもったいない。初心に帰って物作りの情熱を思い出させてくれる良書です。