「1440分の使い方 ──成功者たちの時間管理15の秘訣」を読了しました。時間管理における観察研究の集大成といった感じで、とにかく具体例が多いです。時間管理に関する膨大なテクニック集といった感じでしょうか。
目次(Contents)
1日は1440分。その時間をどう使うか。
本書のタイトルである1440という数字。これは1日24時間を分単位で現したものです。
時間は誰しもが持っている資産で、失ったら2度と取り返せないもの。
本書は徹底してこの限られた時間に何をするのか取捨選択が重要だと述べています。
無駄を切り捨て、最も重要なタスクに集中せよ。
大切な資産である時間を無駄にしないために、どのように時間を作り出すのか。
時間を作り出すのに最も有効なのは、「しなくてもいいことをしないこと。やらなくてもいいことをやらないこと。」であり、自分の大切な価値観を見極め、優先順位の低いそれ以外の無駄な仕事にNoと言えるかが重要であるとしています。
つまり、自分の中でやらないことを決めるということです。
さらに本書では睡眠と休養の重要性も指摘しており、ただがむしゃらに仕事を詰め込んでもかえって非効率になることが指摘されています。こまめに休息をとることはとても大事。
マルチタスクは害でしかない。何かに取り組むときはシングルタスクで集中して一度に一つずつ完了させよ。
本書でもやはりマルチタスクは害でした。同時に2つ以上のことをすると生産性が極めて低下し、スマフォやメールの着信、インターネットやSNSは確認中毒となる危険性もあるとのこと。また、メールチェックなど生産的でないタスクで仕事をした気分になるのは罠であり、こうした非生産的なことで何かをした気になって毎日を漫然と過ごしている人が多いのだとか。
何かに取り組むときは一つずつが鉄則。一つ一つの目の前の作業に完全に集中して、タスクを完了させてから次のタスクに移ることがコツです。
最初の頃に当ブログでまとめたカルニューポートさんの「大事なことに集中する。」のマルチタスクの害についてもご参考ください。
To Doリストは永遠に終わらない。上手なスケジュールの組み方。
本書ではTo Do リストは使わず、スケジュールで管理することが述べられています。
・To Doリストでは最初のタスクが終わらないと他のタスクに移行できない。永遠にtoDoが終わらない危険性。
・そもそもTo Doリストでは必要のない仕事も入ってしまう場合もある。
スケジュールで管理するコツは、時間帯で何をするのか決めること。本書ではさらにバッファタイム(予備日)を設けるようにしていますが、私はそれに加えてダラダラする時間やトラブルや障害が発生したことも事前にスケジュールに組み込むこともお勧めしたいです。
参考:偶然性プランニングとは 妨害に備えて集中力と生産性を高める方法
書評と感想 時間管理のTips集。広く浅く、気軽に眺めて自分に必要なところだけ取り入れればOK。
内容は広く、浅くといった感じで一言一句丁寧に読むというよりも、流し読みして自分に必要なところだけ読めばOKな本です。
ただ、「朝食は取るべきだ」とか、「朝の時間の使い方が最も重要」だとか自己啓発本にありがちな朝型を前提とした、個人の違い(体内時間、クロノタイプ)を考慮しない箇所があるのが残念。人によっては朝型ではなく夜型の人もいるし、朝食を食べるとかえってパフォーマンスが下がる人もいます。夜型の人は本書の朝型を想定した記述は無視しても大丈夫です。
完璧主義になって本書の書いてある内容を全部やろうとするのではなく、自分に向いている内容を実践していきましょう。巻末の時間に関する金言集は面白いですよ。
■日本語版「1440分の使い方 ──成功者たちの時間管理15の秘訣」 ケビン・クルーズ (著) パンローリング株式会社 (2017/8/5)
■原著「15 Secrets Successful People Know About Time Management: The Productivity Habits of 7 Billionaires, 13 Olympic Athletes, 29 Straight-A Students, and 239 Entrepreneurs (English Edition)」Kevin Kruse (著)
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