SQUARE ENIX クリエイティブディレクター 生守一行さんのインタビュー from BusinessTimeline.jp Vol33 2018年3月号

今年2月の終わり、近所のモスバーガーに行ったときにテイクフリーで置いてあったBusinessTimeline.jp Vol.33号にスクウェア・エニックスのクリエイティブディレクター 生守一行さんのインタビュー記事が載っていました。ずっと家に保管してあるのももったいないので気になった点をまとめることにしました。スクウェア・エニックス ヴィジュアルワークス部は、日本で最高峰の3DCGグラフィック制作部署です。身内に居る3DCGアニメーターの知り合いに聞いたところ、スクエニのヴィジュアルワークス部は日本で一番お金をかけて物作りができる環境にあるとか。そのスクエニヴィジュアルワークス部がどのように最高の物作りができているのかに迫ったインタビュー記事です。

品質保証(クオリティアシュアランス)について

インタビュー記事によると、その時代に最高のものを作ることを常に考えているとのこと。

「ゲームで使われる映像は、その時の世界の技術、ハードの影響が大きいです。ルールが数年で変わるという環境の中で最高の表現をするためには、常に、今の世界の最先端を目指して作る姿勢が必要になります。」

人物の動きを取り入れるモーションキャプチャーなど、海外の大手CG制作会社に負けないぐらい最高の制作環境を用意しているとのことです。クリエイターにとって足りないツールはない環境の元で、最高の表現を求め日々努力している様子が伝わってきます

また、作り出す映像についての言及では最新の技術に加えて世界観づくりのためのディテール表現が欠かせないのだとか。

「例えば、見たことのない森を作るなら、様々な森を理解することから始めます。人が認識している、森を構成する定義やその植生の定義を理解し、新しいものとミックスしてその定義を上書きしていくことで、見たことのない森となるのです。椅子一つ作るにしても、バラシて調べることから始めています」

分析と解析を突き詰めていくことで、説得力のある世界を作り出すことができるのですね。

「自分たちに求められているレベルをクリアするのは当然。そして自分たちはクリエイターとして、その上にどれだけ自分たちのクリエイティブを付加価値として、アート集団としてのせられるのかということが重要になります。」

スクエニの3DCGは求められる期待とレベルが非常に高く、プレッシャーも高い中、その期待を常に上回っていく意気込みが伝わってきます。

ブランドにあぐらをかかずに挑戦していく

スクウェア・エニックスというブランドを意識しつつも、そこにあぐらをかかずに挑戦していく生守さん。

「僕はスクウェア・エニックスというブランドをベースに、映像や演出によって、作品の重厚さを増す付加価値をつけ、品質や世界観を訴えかけ、形にすることを生業としています。僕たちが作る映像のゴールは単にリアルにすることではありません。リアルにするのは簡単なことで、難しいのはリアルの先のどこかにアートを感じさせ、クリエイティブがつまっていると認識させること。つまり、付加価値をきちんとつけること。また同時に、短い秒数で見た人の心を掴む。パッと見てグッとくるものを作らないといけない。積み上げてきたブランド価値、手法を少しのショットに詰め込むことで、一瞬で「あ、これスクエニだ!」と思わせる。例えば一つの絵を見たときに「これってFF(ファイナルファンタジー)っぽいよ」と思わせることは、「FF」というカテゴリを世の中に作ったということになるんです。」

スクウェア・エニックスという映像表現では日本で最高峰のブランドの重圧を背負いつつ、進化を続けてクリエイティブに落とし込んでいく。これまで築き上げてきたものを活かして、進化と挑戦を続けていくことの重要性を感じます。

進化のスピードが速いテクノロジーの中で最先端であり続けるためには情報収集も大事となってきます。その際、生守さんはインターネットを活用することが多いそうです。CGを構成するパーツである世界中のデザイナー、アーティスト、エンジニアが作り出した作品=進化を調べて、その時の最適解を取捨選択しているとのこと。新しい情報に貪欲に動き、これまでの成功体験を繰り返すのではなく、最先端を追い求めその結果として最高のものが生まれるのです。

「映像を作るにもゲームを作るにもCGが世界観を作るための大事な技術です。自分たちは今の世界の最先端を知り、制作に向き合っている。最先端を把握しているからこそ、常にどういう道のりでこうなったのかゲーム部門にフィードバックできるんです。技術が毎年変わる中では、技術とテクノロジーとアートを理解し、パラレルに頭の中でミックスしながら判断し、作り上げなければならない。機材、技術、アート全てに造形が深くないとディレクションは難しいんです。」

ディレクションをするためには広範な知識と研究が欠かせないとのこと。

まとめ

スクエニの作品を遊んだ人なら誰もが納得する圧巻の3DCG表現技術を成し遂げるためのクリエイティブへのヒントが凝縮された良い記事でした。単にリアルな表現を求めるだけではなく、そこに独自のアート性を保たせることは面白い発見でした。テクノロジーとアートを融合させたインタラクティブなエンターテイメントであるゲーム作りの面白さを再認識しました。

◆参考

・Business Timeline.jp VOL.33 2018年3月号 文:西川由衣/ビジネスタイムライン編集部 撮影:木坂源太/SOUPED-UP DESIGNS
https://businesstimeline.jp/

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