【今更ゲームレビュー】スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness- 悪いゲームでは無いが色々と惜しい作品。

【今更ゲームレビュー】スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-

【今更ゲームレビュー】スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-
スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-」は2016年3月31日にPS4とPS3で発売されたトライエース開発 / スクウェアエニックス発売のRPGゲームです。スターオーシャンは歴史のあるシリーズで、第一作が出たのが1996年。ナンバリングタイトル最新作の本作はシリーズファンをがっかりさせたゲームとしても有名で、値崩れを起こしているゲームでもあります。私は新品を1000円程度で買い、クリア時間は約27時間でした。序盤を乗り越えればそこまで悪くないゲームという印象です。私のスターオーシャン遍歴は3→2→4ですが世界観は同じでストーリーの繋がりはないのでシリーズ未経験の人でも問題ないと思います(逆に本作はシリーズ未経験の方が余計な期待をしない分いいかもしれない)。

一人の不思議な力を持つ少女を巡る王道ストーリー 全体としてコンパクトにまとまっている

少女リリア スターオーシャン5

不思議な力を持つ少女リリアをめぐる物語。どこから来て、なぜその力を持つのか…。© 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by tri-Ace Inc. CHARACTER DESIGN:akiman


ストーリーは未開惑星フェイクリードを舞台に主人公フィデルが住んでいるスタール村から始まります。スタール村は襲撃を受け、その襲撃をきっかけにフィデルは幼なじみのヒロイン、ミキを連れて地元のレスリア王国へ向かい支援を要請します。しかしレスリア王国は隣国との戦争で忙しく、村の支援を断られることに。王国からの帰り道、空からフェイクリードとは別の宇宙から来たクロノスの宇宙船が墜落してくるところに遭遇、二人は宇宙船から出てきた少女リリアを助けます。その少女は不思議な能力を持ち、主人公達はこの少女を保護すべく立ち回ります。クロノスはこの少女をなんとかして取り戻そうと主人公達を妨害していく…、といった流れです。

全体的に王道で、ストーリーは不思議な力を持つ少女リリアを中心に展開されます。リリアを守っていく過程で主人公達は多くの人と出会い、物語は進行していきます。

ストーリーだけを追えばボリュームはそれほどなく、コンパクトにまとまっており忙しい社会人にも優しいゲームです。

序盤は慣れないとキツい 設定からカメラ感度を調整しよう

序盤から慣れるまでがキツい

酔ってしまう人はカメラの感度を調整しよう。© 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by tri-Ace Inc. CHARACTER DESIGN:akiman


このゲーム、序盤でげんなりして投げてしまう人が多いかもしれません。その理由が操作感覚カメラ設定にあります。初期のカメラ設定だとカメラ感度が高く、主人公が移動して段差を上り下りするときにカクカクとカメラが動き、酔ってしまいます。走って止まる時にも主人公のブレーキモーションが入り、ググッと少し引っ張られる感じがするのがキツいです。モーションは過去作のスターオーシャン3からの使い回しが殆どで、主人公の攻撃モーションも遅く感じます。RPGは町の探索や人に話しかけることが楽しみですが、なかなか町の人に話しかけづらく感情移入しにくいです。カメラの感度設定を低くし、慣れれば問題無いのですが、序盤のフラストレーションが高いゲームと言えます。

魅力的なキャラクターたち

魅力的なキャラクターたち

キャラクターはどれも個性的で魅力的。© 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by tri-Ace Inc. CHARACTER DESIGN:akiman


RPGの醍醐味である町の人々との交流は薄いものの、本作はストーリーやプライベートアクション(PA)を通じての仲間との交流や描き方が良い点だと感じました。キャラはどれも個性があり、魅力的です。

主人公フィデルは感情に流される事もあるけれど、自分の過失を認めてちゃんと謝れる冷静な人物。ミキは幼なじみのヒロインとして正統な役回りだけど大食らい。王国の軍人ヴィクトルも生真面目で心配性だけどオカルトを信じるヌケたところも。最年長のエマーソンは女好きだけど締めるところはビシッと締めるし、アンヌは美人でコンピューターや格闘技など何でもこなせるけれどカワイイ猫には滅法弱い性格。破廉恥な格好をしている(その服装には意味がある)フィオーレもゲームを始める前の印象とは違ってだいぶまともで落ち着きのある性格。キャラの年齢層も幅広く、キャラの設定やデザインはよく出来ていると感じました。

全員参加のシームレスバトルは素晴らしい。可能性を秘めた仕組み。

全員参加のシームレスバトル

全員参加のシームレスバトルは本作の特徴であり、とても良かった。エフェクトさえ控えめだったら…。© 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by tri-Ace Inc. CHARACTER DESIGN:akiman


本作の特徴として、イベントシーンもバトルもシームレスに展開されることがあります。実は2019年の今になって本作を遊んでみようと思った一番の動機がこの全員参加のシームレスバトルでした。ずっと前からこの全員参加のシームレスバトルというものを体験したかったんですよ。これまでのRPGではどんなに仲間が増えても戦闘参加人数が限られているという矛盾がありましたが、本作では全員がバトルに参加出来ます。結果として新鮮なゲーム体験で、より一層仲間との一体感や旅をしている感覚が強まって大満足でした。

システム面での欠点 色々と惜しい作品 バトルバランスが大味なのが一番の残念ポイント

プライベートアクションの発生は改善点

仲間との交流を深めるPAを発生させるには何度も宿屋を出入りしたりと不毛な操作が必要になる。改善が必要な仕様。© 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by tri-Ace Inc. CHARACTER DESIGN:akiman

グラフィックはPS4なのでとても綺麗で、ロード時間もSSD換装したPS4Proだと殆ど気になりません。ただ、やはり本作には惜しいところがたくさんあって…。

バトルに関して言えばエフェクトが激しすぎて戦闘中何をしているのか分からない時がありました。本作にはガードと○ボタンの弱攻撃と×ボタンの強攻撃が3すくみの要素としてありますが、全く機能していません。中盤から後半にかけては敵の攻撃のダメージが大きすぎて、ひたすら×ボタンに設定した必殺技を連打してごり押しする大味なゲームバランスになります。全員参加のバトルと言うことで敵キャラクターの火力を高める方向でゲームバランスを取ったのかもしれませんが、もう少しガードや弱攻撃にも意味を持たせても良かったと思います。ロールというキャラクターの能力やAI行動に影響を与える要素もあるのですが、一部にHPは減少するが無敵になるというチート級のロール(救済要素?)があって、ゲームバランスの調整を諦めたと感じる箇所も。

ゲームオーバーになるとリトライできずに問答無用でタイトル画面に戻されますし、町の掲示板から受注するクエストも単純なおつかい作業を繰り返すだけ。ステージの種類が少ないので同じ場所を何度も行ったり来たりすることになります。つまらない作業をいかにして面倒に感じさせない調整にするかが大切なゲームデザインにおいて、本作のゲームデザインはユーザーの楽しさの面で言えば非常に低いレベルであると言わざるを得ません。

仲間との交流要素のプライベートアクションも全員分を見るには何度も画面を切り替え無くてはなりません。いちいちロードを挟む非常に不毛な作業なので、これはどうにかならなかったのか?と強く思います。

シームレスでイベントシーンが進行している箇所が多く、スキップできないのも周回プレイやリトライしてやり直す時にとても不便です(主人公が動かせないムービーシーンはスキップできる)。

まとめ・感想 なぜシリーズファンからの評価が低いのか…期待するほどがっかりするゲーム 決して出来が悪いわけでは無い

色々と惜しいゲームだな、というのが正直な感想です。王道展開とも言えるストーリーですが、進めていく中でちゃんと開発者が伝えたいメッセージ性は受け取ることが出来たんですよ。キャラも魅力的だし、もっと掘り下げる余地は大いにあると思います。

本作の惜しい点を実際に体験してみると、新品定価のフルプライスで大きな期待を抱いてプレイした人ほど物足りない、と思うのは無理も無いことです。私の場合は値下がりした1000円で買えたから楽しめたところもあったかも…。ボリュームもコンパクトなので時間の無い人が遊べるRPGとしても良くまとまっています(ストーリーだけ追えば15時間以内にはクリアできる)。グラフィックもとても綺麗(特に滝)で決して悪い作品ではないのですが、序盤のカメラや操作感覚の掴みの悪さ、そしてシリーズファンの期待を背負った伝統あるシリーズのナンバリングタイトルとしては物足りないし不親切な部分はあります。

大きく値下がりしていますし、低い評価(糞ゲー)だという先入観をなくして序盤のカメラ設定の感度を落とせば、年齢問わずコンパクトに楽しめる作品だと思います。私はプレイして良かったです。

© 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by tri-Ace Inc. CHARACTER DESIGN:akiman

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