人間である以上、対人関係でどっと疲れる事もあると思います。では、人間関係で相手をしていて最も疲れる人はどのようなタイプでしょうか?それを考察した心理研究の紹介です。
人間関係をどう捉えるか。
人間関係の研究によると、私たちは人間関係をプラスとマイナスの二本の軸で捉えています。その組み合わせから、付き合う相手は自分にとってプラスになる人、マイナスになる人、どちらともつかない人の3つのタイプに分類されます。
1,その人との関係がいかにプラスなものであるかという軸
2,その人との関係がいかにマイナスなものであるかという軸
3,プラスであり、マイナスでもある関係(両価的な関係)
そして人間関係では3番目のプラスでもありマイナスでもある関係が最も疲れるとのことです。英語ではフレネミーといって、友人を意味するフレンドと敵を意味するエネミーを足した造語があるそうです。
敵とも味方とも言えない人が一番疲れる
ミネソタ大学のミシェル・ダフィー(Michelle K. Duffy)さんの警察官を対象にした研究では、警察官が最も親しい同僚に意地悪をされた頻度と協力された頻度、そしてストレスレベルと欠勤日数との関連性を調査しました。
その結果、自分が親しい同僚から邪険に扱われたと感じているほど仕事に専念しにくくなり、許可無く休息を取ることが多く、欠勤が増えていました。そして普段から憎たらしい同僚が協力的な態度を取ったときも同じようにストレスを感じ、意地悪をされただけの時よりも仕事に専念しにくくなり欠勤が増えたとのこと。
明らかにマイナスな態度を取ってくれる人は相手の出方の予想がつくので、距離を取ったり最悪の場合を想定できますが、プラスもマイナスもある両価的な関係になると常に身構えていなくてはなりません。
応援してくれる時もあるけれど、ときは邪魔しようとするタイプの人と接する時は常に緊張が解けないんですね。どちらか態度がはっきりしてくれる人の方が付き合いやすいと言えます。
私たちが親しいと感じている友人から悪意を受けたり、裏切られたりするとより一層苦しいのはこうした背景があるのです。
参考・出典
・「ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」が出来る時代」 アダム・グラント (著) シェリル・サンドバーグ (解説) 楠木 建 (監訳) 三笠書房 (2016/6/24)
・Michelle K. Duffy, Daniel C. Ganster, and Milan Pago n, “Social Undermining in the Workplace,” Academy of Management Journal 45 (2 002): 331–51
・Huiwen Lian, D. Lance Ferris, and Douglas J. Br own, “Does Taking the Good with the Bad Make Things Worse? How Abusive Su pervision and Leader-Member Exchange Interact to Impact Need Satisfaction and Organizational Deviance,” Organizational Behavior and Human Decision Processes 117 (2012): 41–52.
・Bert N. Uchino, Julianne Holt-Lunstad, Timothy W. Smith, and Lindsey Bloor, “Heterogeneity in Social Networks: A Comparison of Different Models Linking Relationships to Psychological Outcomes,” Journal of So cial and Clinical Psychology, 23 (2004): 123–39
・Bert N. Uchino, Julianne Holt-Lu nstad, Darcy Uno, and Jeffrey B. Flinders, “Heterogeneity in the Social Networks of Young and Older Adults: Prediction of Mental Health and Cardiovascular Rea ctivity During Acute Stress,” Journal of Behavioral Medicine 24 (2001): 361–82.