創造性を阻害し、クリエイティブなアイデアを生みにくくする要因とは 音楽と時間のプレッシャーについて

創造性を阻害する要因とは

より良いアイデアや創造性を発揮するための知識はよく見聞きしますが、今回は逆にどんな時にアイデアが出にくくなるのか?についての知見をまとめます。

1.音楽を聴くことはマルチタスクとなり生産性を下げる。

数多くの研究(*1,2,3)から、音楽を聴くことは良いアイデアや学習を阻害し集中力を低下させるとの知見が提示されています(ボーカルの有る無し、曲のジャンルに関わらず)。

これは、脳がマルチタスクに非常に弱いことが原因です。音楽の刺激に脳の注意が持って行かれてエネルギーを分散して消耗してしまうからです。特に読書や文章の内容を理解し覚える時、何かを学習しインプットする時に悪影響が大きいとのこと。実際に私も大学時代に認知心理学の教授から、何かを学習するときは無音が一番であることを授業で習ったことがあります。

ただ、音楽好き&BGM好きの私としては、悲しすぎる結果。音楽には辛い時期を乗り越えるのに助けになって貰ったので、音楽の良いところを考えてみます。

まず、音楽の利点としては気分を高める事があります。ハートに火を付け、気持ちを高揚させることが出来るのは音楽の特権です。抑うつとした気分を吹き飛ばし、やる気や希望を得ることが出来ます。

研究の知見では複数の異なるものからの閃きを問う連想力や学習した内容の想起というように、主に言語分野での悪影響が示されています。私としても実際に読書中の音楽による影響は実感でき納得のいくものですが、他の脳の分野、特に言語領域を使わない分野では音楽は有効だと私は考えています。

例えば体を動かすときに音楽を聴くのは非常に相性の良い組み合わせです。音楽を聴きながらでなければジムには行けない、という方も多いのではないでしょうか。

他のクリエイティブな分野では自分で作曲するときには既存の曲からヒントや着想を得ることができますし、デザインをする時やイラストを描くときも音楽で気分を高めて勢いで作品を仕上げる事ができたり、絵画を描くときも新たな着想を音楽から得る事が出来ます。

音楽の気分を高揚させる力をどう使うかについては人それぞれで良いと思います。

2.時間のプレッシャーは創造性を著しく下げる。

締め切り(デッドライン)は作業を終わらせる為の生産性を高める手段としては有効ですが、良いアイデアの観点から見ると締め切りは悪影響しかもたらしません。

プレッシャーは創造的なアイデアを生み出す事を阻害します。これは、手近に浮かんだアイデアに甘んじてしまい、もっと時間をかけてより良いアイデアを浮かぶ為の時間やアイデアを良くするためのブラッシュアップの時間を切り捨ててしまうからです。時間に追われてアイデアを生み出す試行回数も減ってしまいます良いアイデアを生み出す為には締め切りが無い事が良く、生産性と両立したい場合は軽い締め切りを設けることが有効です。

対策としては、追い詰められてアイデアを作り始めるのでは無く暇なときにアイデアを書きためておくのが良いでしょう。それに加えて仕事場や日常で締め切りのプレッシャーが大きい環境では静かで一人になれるところに行って外部の刺激とプレッシャーが少ないところに行きましょう。そして、なぜこの作業をしているか、なんのためにこの作業が必要なのか?この作業からどんな結果を求めているか?と仕事の意義や成果を意識することも有効です。

良いアイデアを生み出す為には試行回数が最も重要。直感は選択肢という既にあるアイデアを選ぶ時には役立ちますが、アイデアは既に無いものを生み出すプロセスです。直感では良いアイデアは生まれません。自分がこれで行く!と決めたアイデアを自分で信じ、自信を持って決定して実行出来る意思決定力も重要です(自信が無いと自分が良いと思ったアイデアを他の人が実行に移して形にしてしまい成果を取られてしまうため)。

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