一日再構成法で自分が本当に必要な行動が見えてくる。

自分にとって何が良い行動で、何が良くない行動なのか。後で後悔するような選択、やって良かったと思えるような行動とはなんなのか。今回はそんな疑問を解決する一日再構成法についてまとめます。

一日再構成法とは

一日再構成法とは、行動経済学者のポール・ドーランが提唱した、私たちの一日をどのような行動で埋めているのかを心理学的手法で再認識するための方法です。

なぜ再認識する必要があるのでしょうか?その前提として「私たちは自分が本当に幸せな選択・行動を実はよく分かっていない」という傾向があります。私たちは毎日を期待や思い込みでなんとなく過ごしています。行く前はワクワクしていたのに実際はそんなに楽しくなかった予定や、行動する直前になって億劫でドタキャンしたいぐらいだったのに行動したあとは新しいアイデアや自分にない刺激をもらえて満足できた、ということもよくあります。一日再構成法を用いることで、実際に満足しなかった予定を切り捨て、自分が本来持つ幸せや満足につながる行動が分かるようになるのです。

一日再構成法の使い方

この方法では、まず一日の行動を期待値満足度のセットで記録していきます。

期待値:行動や予定の前にどれだけその行動に幸せを感じそうか、その行動をしてみたいと思ったかを期待値として記録します。
満足度:行動した後の実際の満足感について記録します。なるべく予定や行動が終わった後、印象が鮮明に残っているうちに記録します。

点数は10段階でも5段階でもかまいません。直感で決めてもOKです。行動する前の期待と実際の行動の満足度を点数化して比較するのが大事なポイントです。

具体的には、
・久々に友達と会うことになり、期待値としては8ぐらい。→しかし終わってみれば無駄話ばかりで5ぐらいの満足度だった。

・ジムで体を動かすのはめんどくさいし、おっくうだ。期待値は3ぐらい。→実際にジムに行った後は体の血流もよくなり、ポジティブな気分になれたので8ぐらいの満足度だった。

・ずっと出不精で家にこもっていたがそろそろ美容院へ行かなくてはならないレベルになった。めんどくさいし、会話がめんどくさいので行く前は2ぐらいの期待値だ。→実際に行ってみたら、美容師さんと思いのほか話が弾んで、久しぶりに人と交流ができて楽しかったので満足度は9ぐらい、とても満足した。

この行動と満足度の比較を行うことで「自分の期待よりも行動した後の満足度が高かった行動」が分かるようになります。これが分かると、やる前は価値を感じないけれど、やったら価値がある行動を意識して選択できるようになれるのです。

期待と満足度の点数化比較を続けていくと、自分が期待しているものと実際に感じて体験する幸せは全然違うことがだんだん分かってきます。めんどくさいけど実際にやってみたら満足できて、価値を感じる行動たくさん見つかるようになります。

まとめ

・多くの人がなんとなくの期待(こうなればいいなぁ)で日常の予定を埋めているが、実は自分の幸せにつながる予定・行動をよく分かっていない。
・一日の行動をリスト化し「満足度」と「期待」で点数化比較することで、「期待は大きいがやっても幸せになれないこと」「期待はしていないが、やったら価値のあること」を認識できる。
・行動する前は面倒くさくつまらなそうに思える予定でも実際に行動した後の満足度がとても高い行動がある。その活動こそがその人本来の幸せにつながる行動。
・自分にとって本当に幸せな行動が分かれば、迷うことなく自分がやりたいこと幸せになれる行動を選択できる。

◆参考

・「幸せな選択、不幸な選択 — 行動科学で最高の人生をデザインする」 ポール・ドーラン 早川書房 2015-08-21

 
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