お金を得る事と幸福感に関しての研究(1,2)で、人の不幸やネガティブな経験はお金で減らすことが出来るけれど、人の感情的な幸福については特に関係が無い(頭打ちとなる)結果が示唆されています。
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所得が高ければ不幸は減らせるが…
収入が増えることの最大のメリットは自分にとってネガティブな体験をお金の力で減らす事が出来ること。面倒くさいことや、やりたくない事を避けられ、教育費や医療費といった人生にかけるお金の心配が無くなり、ちょっとした贅沢や旅行でリフレッシュも出来ます。
不安や心配と言ったネガティブな感情が強い人ほどお金を稼ぐことで安心感を得る事は出来ます。
年収ベースでの幸福感は900万円ほどで頭打ちとなる
かといって収入が高ければ高いほど幸福感もそれに付随して高くなるかと言うとそうでは無いようです。
行動経済学者のダニエル・カーネマンの研究では年収7万5000ドル(約900万円)を超えると幸福感については頭打ちとなり、それ以上いくら所得が高くなっても最初に稼いだ時に感じた幸福感ほどには幸せは感じられなくなると言います。仕事終わりの最初の一杯が最も美味しく感じられ、二杯目は最初の一杯ほどの満足感が得られないのは、人は幸福に慣れてしまうため。人は損失には敏感ですが、得られるものに対しては鈍感になっていく傾向があります。
幸福ってどんな状態だろう?
お金は不安や心配と言ったネガティブな感情や体験を減らすことが出来るけれど、何かに熱中したり、没頭したりする時に感じる幸福や、誰かと親密な人間関係を築いたときに得られる幸福(感情による幸福(emotional well-being))はお金では買えないタイプの幸福です。お金が無くても目の前の作業に没頭する幸せは誰でも感じることができます。
人の幸福に関してはポジティブ心理学のマーティン・セリグマンの研究やミハイチクセントミハイのフロー体験についての考えも参考になります。
→幸せの5つの種類 ポジティブ心理学 マーティン・セリグマン
→フロー体験とは何か 人生の幸福はいかに熱中、没頭状態を作れるか ミハイ・チクセントミハイ フロー状態の作り方 入り方 条件と燃え尽きについて