生きている以上、誰だって後悔はしたくないもの。今回はオーストラリアで長年ホスピスとして働き多くの人々の最後を看取ってきたブロニーウェア(Bronnie Ware)さんがまとめた死ぬ瞬間の5つの後悔について見ていきます。
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死ぬ瞬間の5つの後悔とは
ブロニー・ウェアさん曰く、死ぬ間際に置かれている人全員が後悔を口にするわけではないけれども、口に出た場合まるで判子のように皆が皆同じ後悔を嘆いているのだと言います。彼女が死ぬ後悔についての記事を発表した後、世界中のホスピス職員やケアワーカーから同様の声が寄せられており、以下の5つの後悔は世界の人類が共通して抱く普遍的な後悔と言えるものです。
1,あんなに働きすぎなければよかった。
2,友人ともっと連絡をとり続ければよかった。
3,もっと自分の幸せを追求すればよかった。
4,勇気を出して本来の自分を表現していればよかった。
5,他人の期待に応えるのでは無く、自分の夢を追求すればよかった。
考察:後悔しない人生のために
では一つずつ考えていきます。
「あんなに働きすぎなければよかった。」では、お金のために自分を犠牲にしてまで働き続ける必要はないということです。お金よりも時間を大切にした方が人は幸福になれる事を示唆する研究[1,2]も出ており、お金のために働くのでは無く、自分にとってやりがいのあることをするのが良いでしょう。職人仕事など、やりがいのある仕事や社会的に感謝される仕事は本人に活力をもたらし、定年後もずっと働き続けたいと思う人もいるでしょう。
「友人ともっと連絡をとり続ければよかった。」については、孤独感を薄めるような良好な人間関係が人を幸せにするということです。孤独感は寿命を縮め、早死のリスクを高める研究[1]もあり、孤独感対策については普段一人でいることが好きな人ほど意識する必要があると思います。具体的にはペットを飼ったり、趣味の習い事を始めたり、SNSで昔の友人と連絡を取ったり、孤独感をなくするような活動をするのがいいでしょう。
「もっと自分の幸せを追求すればよかった」は夫や子供に尽くす妻といった、自分以外の為に自分を犠牲にし続けた人が感じる後悔だと考えられます。仕事のために転勤をしたくないのに転勤を強制されることも自分を押し殺す行為ですね。これに対処するには、モヤモヤと自分を押し殺すのではなく、たまには自分のわがままや好きなことをしてみるのがいいでしょう。こんなに我慢したのだから自分にもっとご褒美を与える感覚です。転勤を強制する会社なんて辞めて、もっと自分にとって働きやすい会社に転職することも有りでしょう。
「勇気を出して本来の自分を表現していればよかった。」は、誰かの言われるがままではなく、自分の意見や考えをしっかり持って、自分を出すことです。自分らしく自己を見つめる事、言いたい事はちゃんと言う事、その上で今自分が何ができるのかを考えて行動していくことが重要ですね。親や最愛の人や親友など感謝を示す人にちゃんと「ありがとう」を言える力です。好きだった気持ちを伝えたかったけれど伝えられなかった…。感謝したくても相手は既に亡くなってしまって自分の気持ちを伝えられなかった…という事態を避けましょう。
「他人の期待に応えるのでは無く、自分の夢を追求すればよかった。」は、自分に正直に生きることの重要性を示しています。親や世間体に流されるまま職業選択を決めてしまったり、本来したいことがあるのに自分に自信がないから安定とされる社会のレールに乗ってしまって、自分らしい人生が送れなかった時の後悔です。多くの人が陥りがちで、私も結構この後悔は感じていたりします。あの時こうしていれば、あの時こっちを選んでいれば、あの時もっと自分に自信があったなら。今言えることは、できない自分を受け入れ、失敗してもいいから挑戦する習慣を身につけることでしょうか。リスクはあるけれど、やらなかった後悔よりやる後悔。そのためには完璧主義をほぐし、セルフコンパッション能力を高めるのが良い方法です。
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参考・出典
・Bronnie Ware, “Regrets of the Dying,” November 19, 2009, http://bronnieware.com/regrets-of-the-dying
・死ぬ瞬間の5つの後悔 ブロニー ウェア (著), Bronnie Ware (原著), 仁木 めぐみ (翻訳) 新潮社 (2012/12/1)
・スーパーベターになろう! ジェイン マクゴニガル (著), 武藤 陽生 (翻訳), 藤井 清美 (翻訳) 早川書房; 四六版 (2015/11/15)