私たち人間は社会的動物であり、他者との関わりあいが無ければ生きてはいけない動物です。今回のテーマは「愛着スタイル」。愛着スタイルとは私たちが抱く他者に対してどういう態度を持って接する傾向にあるかの性格分類の理論です。心理学で言う発達心理学の愛着理論(Attachment theory)を元にしており、主に発達心理学者のメアリー・エインスワース(Mary Dinsmore Salter Ainsworth)が基本的な理論を構築しました。今回はその3つの愛着スタイルのタイプをまとめます。
目次(Contents)
愛着スタイル1.安定型(Secure attachment )
安定型の愛着スタイルを持つ人は、自分に自信があり、他者を信頼し安定した関係を築ける愛着スタイルです。他者と適度な距離感を置くことができ、スムーズに他者と関わり合う事が出来ます。この安定型の愛着スタイルの傾向が強いほど社交的になり、人生が生きやすくなります。自己肯定感や自己受容が確立されているため、困ったときには人に助けを求められ、自分が他人から悪く思われるのではないか?と疑いを持つことは少ない傾向にあります。
遺伝的な影響も大きいですが、幼少期に豊かな愛情と安全基地(失敗しても大丈夫だ、なんとかなるという安心感)を強く得られるとこの安定型の傾向を保ったまま人生を送れるようになります。
愛着スタイル2.不安型(Anxious/Ambivalent attachment)
不安型の愛着スタイルを持つ人は自分に自信が無く、相手に嫌われる事を強く恐れます。人からどう思われているのか気にしてしまい、ストレスに弱いためドカ食いもしてしまう損な性格傾向です。ネガティブな要素や感情に敏感で、物事のマイナス面に気づきやすい傾向を持ちます。
性格には遺伝の影響も大きいですが、幼少期に不安や心配などネガティブな感情で行動を抑制された経験が多い人ほど不安型の愛着スタイルが身に付きやすくなります。具体的には「○○をしないと悪い事が起こる、病気になる、恥をかく(みっともない)」といった不安や恐れの感情をしつけや行動の動機付けに使われて育った人です。
次に紹介する回避型とはちがい、ベタベタな人間関係になる事があります。不安が強く気分の浮き沈みも激しいです。一人の依存対象の相手にとことん依存してしまう傾向があります。
不安型の傾向が強いと人生が生きづらくなるのはもちろんですが、ストレスにも敏感で弱くなります。リアプレイザルやマインドフルネスなどでメンタルを鍛える、過度にマイナスの感情に反応しない練習をした方が生きやすくなる性格傾向です。
また、不安型が高い人ほどフィクションやストーリーの世界に没頭し、現実の人間関係では得られない満足感や現実のコミュニケーションの追体験(お手本)をストーリーの世界に求める傾向にあります(不安型に加えて回避型も高いとより一層フィクションの世界にハマる傾向がある。)。
愛着スタイル3.回避型(Avoidant attachment)
回避型の愛着スタイルを持つ人は、他人と深く関わることが苦手で、他人を頼ることが出来ず、他者との深い関わり合いを避ける態度を持ちます。飲み会など親交を深める機会は極力避け、なるべく人と関わらないことで心の安定を手に入れます。付き合いが悪い、冷たい人だと印象を持たれることが多いです。自分の悩みを他人に相談することが出来ずに一人で悶々と抱え込んでしまったり、必要なサポートを外に求めるのが苦手です。
人間関係自体をめんどくさいと感じてしまったり、人と深く関わることで責任とか付き合いの義務が煩わしいと思ってしまう人は回避型のスタイル傾向を持っていると言えます。
まとめ:自分がどの愛着スタイルを持っているか意識する
愛着スタイルの分類と言ってもこの3つに簡単に分けられるものではなく、人それぞれ強いスタイルと弱いスタイルがあると思います。自分がどの愛着スタイルの傾向が強いかを意識してみることで新たな発見があると思います。ちなみに私は不安型と回避型の傾向が強いです。生きづらさを感じたときは心理学の知識を活かして自己を分析し、自らの傾向に気づいた上でより良く生きるための行動(認知行動療法、リアプレイザルなど)を取ってみましょう。
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参考・出典
・愛着理論(Wikipedia)
・Ainsworth Mary Dinsmore Salter 19131999
・Attachment_theory(Wikipedia 英語)
・ A safe space for self-expansion: Attachment and motivation to engage and interact with the story world
・Parent-child relationships and offspring’s positive mental wellbeing from adolescence to early older age
・Adult attachment style and affect regulation: Strategic variations in self-appraisals.
・パレオな男