故 岩田聡 元任天堂社長 記事まとめ (インタビュー、書籍)

私が尊敬する人物に、任天堂社長(2002年-2015年)の故岩田聡さんがいます。2015年7月11日にわずか55歳の若さでこの世を去ってしまった岩田さん。彼の持つ考え方や行動理念がとても素晴らしく、感化されるものだったので、彼に関しての情報をここにまとめておこうと思います。

任天堂や岩田聡さんについてより知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
任天堂の哲学が学べる「任天堂“驚き”を生む方程式」レビュー&まとめ 娯楽に徹せよ、独創的であれ

目次(Contents)

インタビュー記事

1984年1月14日夕刊フジ「ベンチャービジネスの若者たち」


Twitterでシェアされた岩田さんの当時24歳のインタビュー記事。父親とのエピソード(反対を押し切ってHAL研究所に入社したこと)や、どんな仕事でもこなしていく覚悟、さらにはプログラマーの立場についても触れられている貴重な資料です。

1985年「BEEPゲームデザイナーアンケート」

http://dragonquestage.blog.fc2.com/blog-entry-62.html
出典:外部サイト「ドラゴンクエストとその時代」
当時25歳のHAL研究所での岩田さんの誠実な人柄が伺える貴重なアンケート資料です。

上記サイトの記事後半の指摘にもありますが、岩田さんが最後の質問「ゲームデザイナーに未来はあるか?」にたいして、「あります。きっぱり!」と答えたのは、当時まだ子供の玩具と認識されていたビデオゲームに対して、岩田さんが持つ強い期待と希望をよく表していると思います。

1988年MSXMagazine「ハル研究所に聞く!組織でソフトを作るアプリケーションソフト「HALNOTE」の奮戦」


こちらもTwitterでシェアされた岩田さん当時28歳のインタビュー記事。バリバリと一線で活躍するプログラマーの、納期とクオリティのバランスについての考え方を知ることができます。

1994年「ゲームデザイナー入門」より

出典:ドラゴンクエストとその時代 InternetArchive https://web.archive.org/web/20160218184143/http://dragonquestage.blog.fc2.com/blog-entry-86.html
(出典元が閉鎖していたので、InternetArchiveから)

こちらは、岩田さんが任天堂に就任する8年前、当時HAL研究所の社長だったころのインタビュー記事で、出典元の「ゲームデザイナー入門」はテレビゲームの作り方を説明するために、小学生向けに刊行された書籍です。岩田さんはプログラマーの仕事を水道の蛇口に例えて、プログラマーの心構えについて語っています。どれだけ音楽や企画、グラフィックのいいアイデアがあっても、プログラマーというアイデアの蛇口が小さいと少ししか流れない。大きい蛇口を持って、企画の人にハードの制約を感じさせないようにするのがプログラマーの仕事だと。過去の岩田さんのエピソードもあり、高校生のころに16万円もする電卓を買って、プログラミングにのめりこんだこと。HAL研究所への入社の過程や、広告と関連して納期を延ばせないプログラマーの葛藤などの当時の時代背景。ただ仕様書通りに仕上げればいいわけではないのがゲームであり、強い好奇心や向上心、そして何か一つ武器を持つことが重要だと述べています。

「ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ」の情報・産地直送!

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/nintendo/nin4/
岩田さんは「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里さんと交流があり、イトイ新聞には多くの岩田さん、糸井さんとの対談記事があります。それらが今となっては岩田さんを知る上で貴重な資料となっています。
今回はその中からNintendo64の大乱闘スマッシュブラザーズのインタビュー。当時は人気キャラクターであるマリオやリンクが殴り合うゲームは暴力的とされて、企画が通らないのではないかと言われましたが、それをどう交渉していったかの過程が分かります。
私も大乱闘スマッシュブラザーズはリアルタイムで大いに熱中しましたから非常に面白いインタビュー記事です。星のカービィシリーズの生みの親、桜井政博さんのインタビューも同時に読むことができます。

2000年「樹の上の秘密基地「MOTHER3」の開発が中止になったことについての糸井重里・岩田聡・宮本茂の座談会」

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/nintendo/nin13/index.htm
6年かけて開発していたMother3の開発が中止されることになり、ゲーム作りの難しさについてよく分かる対談記事となっています。なお、Mother3はその後GBAで2006年4月20日に無事発売されました。

2005年 ほぼ日刊イトイ新聞「社長に学べ!<おとなの勉強は、終わらない。>」より

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/president/iwata-index.html
糸井重里さんの岩田さんへのインタビュー全15回の記事です。岩田さんの実体験に基づいた考え方やビジネスのあり方、コンピュータについての話などためになる話がたくさん聞けます。

2007年 東洋経済オンライン 岩田聡 任天堂社長

出典:東洋経済Online
https://toyokeizai.net/articles/-/261
東洋経済によるNintendoDS,Wiiのヒットの分析についての岩田さんのインタビュー記事です。

2007年 ほぼ日刊イトイ新聞「任天堂の岩田社長が遊びに来たので、みんなでご飯を食べながら話を聞いたのだ。」より

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/iwata/index.html
岩田さんがアイデアについて語ったインタビュー記事で、ゲーム作りに限らず、多くの物作りやアイデアを必要としている人にとって参考になるヒントがたくさん聞けます。

2008年 ほぼ日刊イトイ新聞「適切な問題さえ生まれれば。」より

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/umeda_iwata/index.html
「ウェブ進化論」の著者梅田望夫さんと岩田さん、そして糸井さんとの対談記事です。人生は有限であり、その中でどう問題解決をしていくのか、制約やエネルギーをどう使っていくかについて興味深い話が聞けます。

2008年 ほぼ日刊イトイ新聞「星空の下の仕事観。岩田社長と、はたらくことについて話す。」

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/job_study/iwata/index.html
働くことをテーマに、岩田さんの考え方を知ることができます。自分の得意なことを活かした方がいいのか、就活はどうしたのか、などの今の生き方を悩む人のヒントになる言葉がたくさん聞けます。

2009年 ほぼ日刊イトイ新聞「どうぶつの森 遊んだ人と作った人。」

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/nintendo/nikonikori/index.html
女性に人気の「どうぶつの森」というゲームタイトルをテーマに、どういう「遊び」や「体験」を目指して作られたのかが語られています。

2009年 東洋経済オンライン「岩田聡・任天堂社長 日本人が面白いと思うものは世界で見ても「面白い」!」

出典:東洋経済Online
https://toyokeizai.net/articles/-/10311
東洋経済によるインタビュー記事です。DSとWiiの海外売り上げ、そして海外に通用する日本のアイデアとは何か、についての岩田さんの考えが聞けます。

2010年 ほぼ日刊イトイ新聞「自分の健康について考える道具。」

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/dsi_deardoctors/index.html
「持ち歩く健康手帳」をテーマに、岩田さん時代の任天堂が目指したクオリティオブライフ(生活の質向上)の取組につながる話が聞ける対談記事です。

2011年 東洋経済オンライン WiiUは一家に一台・家族全員が遊ぶデバイス、ソフト会社との連携も強化 岩田聡・任天堂社長

出典:東洋経済Online
https://toyokeizai.net/articles/-/7232
Wiiが世界的に成功した後のWiiUについてのインタビュー記事です。一家に一台のデバイスとして普及を目指したWiiUでしたが、その後任天堂を大きな業績不振に導いてしまいます。

2013年 東洋経済オンライン 任天堂・岩田聡社長ロングインタビュー上、中、下

出典:東洋経済Online
【上】任天堂社長が説く、ヒットゲームの新法則 https://toyokeizai.net/articles/-/16497
【中】WiiUはゲームをテレビから解放する https://toyokeizai.net/articles/-/16499
【下】任天堂は、変えることをどんどん変える https://toyokeizai.net/articles/-/16500

Wiiの弱点分析から、スマフォゲームの台頭は伝統的なゲーム(ゲーム専用機を用いて専用ゲームを遊ぶビジネスモデル)の脅威になるのかどうかの話が聞けます。また「娯楽を作る」という一貫した任天堂で変わらない部分と、これから先任天堂が変わっていく部分はどこにあるのかについての岩田さんの考えを知ることが出来ます。

2013年 ほぼ日刊イトイ新聞「宮本茂はどういうふうに構造をつくっていくのか。」

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/nintendo/pikmin3/index.html
「ピクミン3」を題材に、どのようにして宮本茂(スーパーマリオの生みの親)がアイデアを構築し、ゲーム作りをしていくのかを最も間近で見ていた岩田さんの考察が読み取れます。ゲーム作りのヒントが盛りだくさんです。

2013年 ほぼ日刊イトイ新聞「MOTHER2ギークの逆襲ふっかつさい開催記念対談」より

出典:ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/nintendo/mother2_wiiu/index.html
WiiUにバーチャルコンソールでMother2が配信されることになった、その記念の対談記事です。

2014年 ダイアモンドIT&ビジネス 岩田聡・任天堂社長インタビュー 前編 後編

出典:ダイヤモンドIT&ビジネス
【前編】http://diamond.jp/articles/-/52232
【後編】http://diamond.jp/articles/-/52233

岩田さんが抱いている任天堂の「クオリティオブライフ向上」の経営方針について詳しく知ることが出来ます。任天堂に接する人全員が幸せになって欲しい、という岩田さんの考えを知ることができます。後半は岩田さんのコミュニケーション能力についての考えも聞けます。

2014年 ドワンゴ・川上量生氏との特別対談企画 ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!

出典:4Gamers.net
http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20141226033/
ドワンゴの川上さんと岩田さんの対談記事です。岩田さんは終始リラックスした様子で、宮本茂さんをライバル視していた話やアイデアについての話、そして物作りやエンターテイメントの話など多くの示唆に富んだ記事です。

2014年 ハフポスト 任天堂・岩田聡社長に聞く、WiiU不振「想定したどんな状況より悪い」

出典:HUFFPOST
https://www.huffingtonpost.jp/2014/05/08/nintendo-wiiu_n_5287239.html
WiiUの不振による営業赤字についてのインタビュー記事です。営業赤字になってしまった任天堂、これからどう立て直していくのか。緊張感のある記事です。

2015年 日経ビジネスオンライン 任天堂・岩田聡社長激白、「時が来た」DeNAとの業務・資本提携の真相

出典:日経ビジネスオンライン
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO84631890Q5A320C1000000/
WiiUの営業不振で赤字に苦しんでいた任天堂がついにスマフォアプリ大手のDeNAと協業について、当時の時代背景を踏まえた流れがダイナミックに伝わってくる記事です。

2015年 東洋経済オンライン「岩田さん、一番好きなゲームって何ですか」 記者が振り返る任天堂・岩田社長の魅力

出典:東洋経済Online
https://toyokeizai.net/articles/-/77336
岩田さんが2015年に亡くなった後の東洋経済による追悼記事です。記者から見た岩田さんの人物像が伝わってきます。

書籍


岩田さんを知る上で特に重要なのがKindleで2016年に発売された「「ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言」Kindle スタジオスパーク 2016/7/6 ASIN: B01I3589FQ」です。この本は彼と学生時代を共に過ごした同級生たちの証言集であり、企業人としての岩田さんでは無く、素に近い岩田さんの人柄が分かります。この本の後半には任天堂が求めている人材や、岩田さんがどのように考え行動していたかが分かる貴重な資料です。


また「「任天堂 “驚き”を生む方程式」井上 理 日本経済新聞出版社 (2009/5/12) ISBN-13: 978-4532314637」も大変素晴らしい書籍です。→レビュー&まとめ記事も書きました

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