ゲームで10年長生きする方法 ジェイン・マクゴニガル【TED動画感想まとめ】

自身もゲーマーでゲームデザイナーとして活躍しているジェイン・マクゴニガルさんのゲームの仕組みを人の長寿に活かせないかを考察したTEDトークのまとめです。ゲームの要素をいかに現実に結びつけてより良い人生を送るかの考察と、人が死に際に後悔することとの関係性が面白いです。

日本ではゲームと言えばずっと引きこもってゲームばかりしているという悪い印象ばかりクローズアップされていますが、今回の動画ではゲームデザインの概念である達成感、目標設定を上手に問題解決に応用していることが感じ取れます。

参考→【書評と要約】幸せな未来は「ゲーム」が創る ジェイン・マクゴニガル

ちなみにこのジェインさんはポジティブ心理学で有名なケリー・マクゴニガルさんとは姉妹の関係です。

TED動画

TEDGlobal 2012 | June 2012
Jane McGonigal / Game Designer

動画の要点

・ゲームカンファレンスに行くときに乗ったタクシー運転手がゲームが大嫌いな人だった。
・ゲームは世界を良くするものであって欲しいし、ゲームと共に過ごした時間を後悔して欲しくない。
・実際に人が人生を終えるときに、一体何を後悔するのだろう?実際に調べた研究があった。

人が死ぬときに感じる5つの後悔
1, あんなに仕事ばかりするんじゃなかった
2, 友達と連絡を絶やさずにいればよかった
3, もっと自分を幸せにしてあげればよかった
4, 本当の自分を表す勇気を持てばよかった
5, 他の人の期待に合わせるのでなく自分の夢に忠実に生きればよかった

・この中に「(人生の中で)もっとゲームをやればよかった」は入っていないが、後悔の話の中にある、人の根本的な欲求はゲームで満たす事が出来ることに気づいた。
・仕事ばかりしていた後悔に対しては、子供たちや家族とゲームをプレイすることでより絆や家族との関係が深まっていく。
・友達との連絡を絶ってしまった後悔に関しても、オンラインゲームやソーシャルゲームで友達とつながりを保ち続けることが疎遠になりがちな人間関係を維持するのに役立っていた。
・自分を幸せにすることについては、オンラインゲームが抑うつや不安に薬よりも高い効果を示した。(毎日30分のオンラインゲームが長期的な幸福度に及ぼす影響)
・本当の自分を表す勇気に関しては、スタンフォード大学の研究で、理想化されたアバターを使ってゲームをすることが実生活での考え方や行動も変化し、 より勇敢で野心的になって目標に集中するようになるとことが報告されている。
・自分の夢に関してはまだ?マーク。

・10年以上のゲームの心理学研究から、ゲームをしているとき、私たちはよりクリエイティブになり、意志が強くなり、楽観的になって他の人に助けを求めやすくなることが分かっている
・自分の病気の症状をベースにゲームをつくった。病気の原因を悪とし、仲間を集め、レベルアップで成長していく単純なゲームだった。単純なゲームだったが、自分の病気の症状を気に病まなくなるほど鬱や不安の波を鎮める事が出来た。
・このゲームを誰でも遊べるように公表したところ、反響がとても大きかった。

参考→super better https://www.superbetter.com/

・ゲームが多くの人たちの力になっていることが分かった。反響の中には「力と勇気を感じるようになった」「友達や家族と理解が深まった」「痛みや人生最大の困難に直面しながらも幸福を感じられるようになった」というものがあった。

・なぜ単純なゲームがこんなにも効果があったのか。それはゲームをしている私たちの中で、ちょうどトラウマ=心的外傷後ストレス障害から立ち直るときに起こる「心的外傷後の成長」が起こっていたから。

心的外傷後の成長
1, 優先順位が変わり幸せを追求するのを怖れなくなった
2, 友達や家族とより親密になった
3, 自分自身がよくわかるようになり本当の自分を知った
4, 人生に意味や目的を感じられるようになった
5, 自分の目標や夢に専念できるようになった

・この克服の過程では、ちょうど人生で後悔したこととは真逆のことが発生している
肉体的回復力、精神的回復力、感情的回復力、社会的回復力、この4つの回復力を高める活動をゲーム化して日常に取り入れることが健康に役立つ。
・具体的には、ポジティブな感情とネガティブな感情比率を3:1にして、1時間以上続けて座らず、気にかけている誰かと毎日連絡を取りあい、意志力を高める小さな目標に挑戦していけば、そうでない人に比べて10年も寿命に差が出るという。

要するに、運動習慣や社会、友人とのつながりといった健康長寿に繋がる行動、小さな達成感の積み重ねをゲームを通してやってみてはどうか?という提案をこの動画は述べています。

考察

ゲーム的要素を上手く自分の人生に活かすことで、実生活にプラスする試みは面白くてユニークだと思います。ゲームならではの達成感や目標達成と報酬の仕組みを現実世界で応用するのことをゲーミフィケーションといいます。

ゲーミフィケーションはマーケティングでも使われており、ヤフーオークションなどに見られるポイントが貰えるくじ引きやドミノピザの週末クーポンなどはその一例でしょう。

教育分野では達成バッジやご褒美シールなど、自分が達成したこと、やり遂げたことを明確に視覚化することでやる気やモチベーションが高まることが分かっています。

ネガティブな文脈で語られがちなゲームですが、ゲームの有効性・ポジティブな側面に注目する興味深い分野だと思います。

今回の動画ではまだまだゲーミフィケーションの奥深いところまで触れられていませんが、海外の「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドをプレイすることで鬱病が治った」例を参考に見てみるとゲームも正しく使えば、良薬にもなることがイメージできると思います。実際私も落ち込んでいる時に単純なゲームをプレイして元気を取り戻せたことを何度か体験しているので、やり過ぎず生活を豊かにするためのツールとしてこれからもゲームと接していきたいですね。

 
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