ジャンプ流vol.8高橋和希 遊☆戯☆王 要約&まとめ

ジャンプ漫画家の創作の秘訣を探るジャンプ流。今回は「遊☆戯☆王」で有名な漫画家、高橋和希さんの創作の秘訣を探ります。高橋さんが漫画家になった経緯や、創作活動・クリエイティブ活動のヒントとなる知識をまとめました。

書誌情報 
「ジャンプ流 vol.8 まるごと 高橋和希 遊☆戯☆王」 集英社 2016/04/21

デビュー秘話

・子供の頃の夢は怪獣デザイナー。ウルトラマンなどの作品が大好きだった。異形なものを自分でもデザインしたいなぁと思っていた
・街を歩いているときもビルの谷間に巨大な怪獣がいるのを妄想してワクワクしている子供だった。
・実際にマンガを描き始めたのは高校生になってから。描き始めはしたものの、なかなか完成させられなかった。最後まで描ききったのは専門学校に進んでから
大島やすいち先生のところでアシスタントを始めた。とても密度の濃い作品を描かれており、勉強になった。
・10代でマンガ家デビューしたものの、連載には至らず、10年ぐらいは食えない時代を過ごした
・ジャンプへの持ち込みは、一番ハードルが高いイメージが合ったので後回しにしていた。持ち込んでいない雑誌がジャンプぐらいしかなく、思い切って挑戦した。
・その時持ち込んだのが250ページの大長編。このまま連載する気合いで作った。
・新天地のジャンプでの連載は長くは続かず、ゲームデザインのバイトと平行しながらマンガを描いてボツを喰らうことの繰り返しの生活を送っていた。
・格闘マンガを描こうとしていたが、アイデアが尽きてしまった。しかし実際に格闘を体験できるゲームには勝てないと考えた。
・しかし「ゲーム」という題材こそが大きな転機に。ゲームで戦う、対面して闘うアナログゲームを題材にしたマンガなら面白くなるだろうと思った。
・連載当初は毎週読み切り形式で制作されていたので、毎回ゲームを考え、ルールを紹介し、どんでん返しを用意しなければならなかった。この時「とんでもないことを始めてしまった」と思って、アイデアが続かないと感じてしまった。焦って長編に切り替えるもいきなり人気が落ちてしまった。
・1話完結型の時に描いたカードゲーム回の反響の大きさから、カードゲームを題材に続けていくことにした。カードに描かれたモンスターが実体化するネタはスターウォーズエピソード4に登場するホログラム映像が出るチェス盤がヒントになったという。自分でも描いていて楽しい演出だった。
・カードゲーム編で人気が世界にまで大爆発。幅広い世代の心を掴んだ。
・カードゲームは一回限りで終わらせるつもりのネタだったけれど大人気になって、カードゲームというジャンルがここまで発展するとは当時は思いもしなかった。
・ネーム作業があまり好きではなく、モンスターのデザインやネーミングは原稿時に行っていた。ペン入れは楽しい作業とのこと。
・心理描写はマンガの方が優れていると思う。アニメに対抗意識を燃やしてド派手なシーンをマンガで作ってみたりしていた。
・読者に面白がってもらいたくてずっとマンガを描いてきた。キャラクターの感情が伝わって共感してくれたり、感動してくれるのが何よりの喜び
・人に面白さを伝えたい、人を楽しませたいという気持ちは大事。
マンガ家はキャラクターに試練を与える仕事なので、自分の試練や挫折も大きな経験になるものだと思う
ボツや挫折も糧にしてめげることなく頑張ってほしい

技術面

ゲームの視覚化。カードゲームを知らない人が外から見ても体験できる形に落とし込んだ。
・バトルマンガで一番重要なのが、いかに主人公を追い詰めるかというピンチの演出。もしかして今回ばかりは負けるかも…とハラハラさせるのがポイント。物語を構成するときは情け容赦なく主人公が一番困る試練を与える。大事なものが奪われる、自信を持っていた特技が破られるなど、その危機が主人公にとってつらいものほど、そこから這い上がる主人公を応援したい気持ちになり、共感と感動を与えられる。
・キャラクターの闘う理由を用意することも重要。なぜ闘うのか、なぜ勝ちたいのかを明確にしておく
逆境に追い込まれたほど、逆転勝利したときのカタルシスも大きくなる
・コマ割りではキャラの感情に合わせてコマを歪めていく。感情や状況の緊張感が高まるほどコマ割りを複雑にして、変形ゴマで視線の流れを乱して躍動感やキャラの不安感を読者にシンクロさせる。
・コマ割りではめくりの効果を意識する。最後のコマに「ため」や「引き」を作り、めくった先のページに驚きや迫力のあるコマを用意する。遊戯王ではめくりの前にカードのドローシーンを配置し、めくった先のコマでどういうカードかを見せていく。こうすることで読者とカードめくりをシンクロさせることができ、臨場感を与えることができる。
・決めのシーンでの描き文字(「ドン」など)は日本映画の合戦のシーンで使われる太鼓の効果音を意識している。劇中で太鼓が鳴ることで緊張感を与え、画面に観客を注目させると同時に、読者の視線を留めることが出来る。
・連載マンガでのカラー絵はコテコテ塗りすぎると勢いがなくなり絵が止まってしまうので、あまり塗り込みすぎないように注意している。
キャラクターをシルエットで理解させることを重視している。一瞬でキャラが認識できるフォルムをめざし造形していく。
・異なる考え方を持った人物がいることで会話や物語が発生する。そのため、内面が似たキャラは割ける。キャラの性格を数値化して同じ方向性のキャラができないようにしている。
・内面作りのポイントは弱さ。ヒーローにも弱い面がある。弱さを克服することでの面白さ、成長する醍醐味が生まれる。
弱みを見せることで読者との共通点や理解できる部分を作り、感情移入もしやすくなる
・バトルマンガでは敵が重要で、敵が魅力的なほど主人公も輝く
・魅力ある敵のポイントは主人公とは対極の部分もありつつ、理解できる部分もあること。
・モンスターデザインのポイントは、そのモンスターを使うキャラクターの心理状況。モンスターはデュエリストたちの心情の表れであるため、モンスターが出てくるシーンの原稿を描くときに初めてモンスターデザインをすることが多かった。
・キャラクターと同様にモンスターもフォルムが重要。穏やかなら丸みを帯び、攻撃的ならトゲを多くしたり、鋭角的なフォルムにする。モンスターを召喚するキャラクターの感情・心情とリンクさせたデザイン
・映画や絵画、コミック、マシン、建築、生き物など様々なものからデザインの要素を吸収していく。普段から好奇心旺盛に色んな者をみたり、体験して自分の中に取り組んでいくことが多様なデザインを創造するための糧となる。

DVDより

鉛筆の勢いが一番大事。ペン入れすると勢いが減ることもある。
・勢いと白と黒のバランス、陰影を付けていく作業が重要。
・デジタルで色は出来るので、ペンの線のタッチといったアナログ感を入れながらデジタルと融合させていく。
・描いていく内に格好いい構図が変わることも。その場合は下書きを無視して色々変えてしまう。
・300dpiで原稿をスキャニング、デジタルで着彩。大体肌色から塗っていく。
・デジタルのいいところは拡大縮小が自由なところ。手元で大きく出来る。
・デジタルではひたすら色を塗っていく。濃い色から塗っていって、だんだん光を与えていく。陰影がはっきりしてくるし、迫力も出てくる。
・複製原画と言うことでペン入れをしたが、普段は鉛筆の下絵を描いたらスキャニングする時もある。
・ペン入れした方が線もラインもはっきり出る。明暗もはっきりしてくる。
・デジタル彩色はソフトと環境をそろえるのが大変。
デジタルは失敗してもやり直しがきく、そういうところが本当にデジタルの好きなところ
・アメリカの映画とかのフィギュアを集めている(ジョーズや特にエイリアンの造形が大好き)。こうした造形を普段から目に入れておくようにしていくと、ふとしたときにデザインの役に立つ。日常の目のつくところに置いておいて、頭の片隅に入れている。
・バーやジュークボックス、そしてシアタールームがあって映画5000本以上を所蔵。映画の中で一番好きなのはジョーズ。ブルーアイズホワイトドラゴンのデザインにも影響した。
・映画のアート関係の本が多い。眺めて参考にさせて貰っている。
・連載が終わってからデジタルに入った。それまではコピックで塗っていた。今はデジタルの塗りの方が好き。
・下書きは普通のシャーペンで、ペン入れはGペン。道具には特にこだわりはない。その時あるものを使えばいい、という感じ。
・連載当時のネームは、マルチョンで自分にしか理解できないような凄いネームを描いていた。最近は時間があるので絵はちゃんと入れている。
・めくって新しい情報があるみたいな。次のページをめくりたくなるように構成している。
最も楽しい瞬間は、下書きを入れてペンを入れて、消しゴムで下書きの線を消してペンの線だけ残る瞬間。消しゴムをかける作業が好き。
・ジャンプは大勢の人が見るので、人を楽しませるという気持ちが重要。
・最初は絵を描くのが楽しくてみんなマンガ家を目指すけれど、連載を続けていく内にだんだん絵を描くのが大変になってくる。その中でもできる限り楽しんで絵を描いていく。そうすれば読者に楽しさが伝わると思う。

マンガ家を目指す人たちへ

・自分で何か一つ興味を見つけて、それをマンガという形で読者に表現していく。
・マンガばかり見ているようだと似たような物になってしまうので、自分独自の世界を見つけることが大事。

感想

遊戯王といえば私が子供の頃大ブームになったマンガです。好きな子は凄く好きで、ハマった友達の中には大人になっても遊戯王カード集めている人がいましたね。

男性読者からの人気がものすごかったそうで。確かに絵柄とか線の力といったものは男子向きなデザインだと思います。

弱みをみせることで共感を生むのは以前まとめを書いた「人生の勝算」という本にアイドルビジネスの考察として指摘していたのが印象的でした。マンガ家は人を感動させる商売であるので、ビジネスの分野で共感が重視される分野とマンガ家の人を感動させるセンスは共通しているのでしょう。

高橋先生の仕事場がものすごく豪華で成功者という感じでした。

遊戯王はジャンプで連載していたのをチラ見したりしていたぐらいなので、今度遊戯王全巻買って読破してみようと思います。

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