アート・デザイン

ジャンプ流vol.4 久保帯人BLEACH ブリーチ物語を紡ぐ秘技とは

2018年9月22日

ジャンプ漫画家の創作の秘訣を探るジャンプ流。今回は「BLEACH」で有名な漫画家、久保帯人さんの創作の秘訣を探ります。久保さんが漫画家になった経緯や、創作活動・クリエイティブ活動のヒントとなる知識をまとめました。

◆書誌情報
「ジャンプ流 vol.4 まるごと久保帯人」
集英社 2016/02/18

目次(Contents)

デビュー秘話

・子供の頃から絵が好きで、マンガ家を志したのはごく自然な流れだった。
・水木しげる先生の本を読んで、マンガ家になることを意識し始めた。
・「キン肉マン」をマネして描いていた。
・親が一冊マンガの描き方の本をくれて、それだけを頼りに1作とにかく描き上げた。
・小さい頃から今話している相手は何を考えてしゃべっているんだろう？と考えながら受け答えをしていた。客観視する癖があった。
・辞書を読むのが好きだった。高校生の頃に漢字辞典を読破した。
・小説もマンガもあまり読まなかったけれど、辞書は言葉の組み立て方やつなぎ方を知るのに役立った。
・ファッションは高校生のころから興味を持ち始めた。
・その後は家具が好きになって、家具の色合いをキャラの服に反映させて描いたりもした。
・学生の時に5年空手をやっていたことが連載を続ける上での基礎体力になっている。
・自分で興味を持ったことや経験したことが全てマンガ描く上で何かしらの役に立っている。
・助走が必要なタイプで、昼間たっぷり遊んで、夜は短時間でネームを描く。遊ぶときは遊び、描くときは描く。1週間のうち、ほぼ2日間を休暇に充てている。休暇がアイデアの蓄積に繋がっている。
・高3の夏休み、進路を決めるときにマンガ家と意思表明した後、夏休みにマンガを1本描いてジャンプに投稿をした。ジャンプしか読まなかったので、他誌への連載は考えなかった。
・マンガ家として最も嬉しかったことは読者との出会い。
・マンガ家をやるのは大変そうだけど、意外となんとかなるもの。一週一週がんばってクリアする事で乗り越えていく。強い意志があればなんとかなる。
・音楽が好きで、曲のイメージからキャラクターを生み出すこともあれば、逆にキャラに合う曲を探すこともある。

技術面

・和洋折衷のいいとこ取りをしている。
・人間観察でインプット。
・頭の中の映像をコマに落とし込む。
・バトルシーンでは頭の中でカメラワークを含めた映像をはっきりと思い描く。
・空と天気を使った演出では、登場人物の内面を印象的に示す。
・“白”と“黒”の強いコントラストがお互いを引き立て、情景を深く読者の心に刻みつける。
・“余白”も作画には絶対必要。余白には読者の想像力をかきたてる効果がある（行間の役割）。
・筆ペン1本、Gペン1本の2本だけでマンガを描き上げる。
・わざと筆ペンのかすれを使って味を出す。
・武器はキャラクターの生い立ちや性格も表現できる。
・あえて実在の武器を研究や資料を参考にせず、その人物の相棒としてふさわしい武器を自由な発想で描くことを重視している。
・小物類もあまり常識にとらわれずにデザインする。
・絵を描くだけでひとつの世界や物語を構築できることはマンガの持つ最大の魅力であり、長所。
・絵の細部にまで作者のイマジネーションを上手に載せれば作品全体に個性が生まれる。
・効果線はただ描くのではなく、物体のエネルギーや速度をある程度考える。
・筆文字は一筆書きではなく、細部を微調整をしていく。

DVDよりメモ

・コピックで彩色。明るいところからだんだん暗くして陰を付けていくように。
・キャラクターに合わせた表情と距離感を意識。
・女性と男性では塗る肌の色が根本的に違う。
・最初は彩色は苦手で、面倒くさかったが、描き始めると楽しくなってくる。
・たくさん描くとどんどん楽しくなってくる。たくさん描くことが重要。
・アシスタントの関係はフラットで、特に深い付き合いなどはない。
・建築の雑誌をデザインの資料にしている。服の装飾などに活かす。
・妖怪が好き。水木しげる妖怪画集を大切にしている。得体の知れないもの。見ていると小学生の頃を思い出す。
・「BORNES」動物の骨ばかりが載った写真集。見た目は知っていても、骨の形を知らないため資料に重宝している。

BONES ― 動物の骨格と機能美

posted with ヨメレバ

湯沢英治,東野晃典早川書房 2008-06-23

Amazon

Kindle

楽天ブックス

・徹夜はしない。徹夜をすると逆に原稿が遅くなってしまう。
・良い形のものに囲まれていると、いい気持ちで仕事が出来る。

漫画家を目指す人たちへ

・人の言うことは聞かないようにする。
・漫画家は一人で全部やれるのが楽しい仕事。
・担当のいうことも聞かないぐらいでちょうどいい。担当の言うこと聞いて失敗したら、その失敗を担当のせいにしてしまう。マンガは面白ければ通る。
・うまくいっても、失敗しても自分の責任で生きる。
・物事を色んな方角から見て考えられるように、その中から自分の意見を固められるようにしていく。事件をみて伝えられていることを鵜呑みにするのではなく、本当はこうなのではないか？と別の側面を意識して思うことがマンガを作る上で役に立つ。