アート・デザイン

ジャンプ流 vol.23 空知英秋銀魂要約&まとめ

2018年10月1日

ジャンプ漫画家の創作の秘訣を探るジャンプ流。今回は「銀魂」で有名な漫画家、空知英秋さんの創作の秘訣を探ります。空知さんが漫画家になった経緯や、創作活動・クリエイティブ活動のヒントとなる知識をまとめました。

書誌情報　
「ジャンプ流 vol.23 まるごと空知英秋」　集英社　2016/12/01

目次(Contents)

デビュー秘話

・子供の頃から絵を描くのが好きで、ゲームも好きだった。
・ゲームのコミカライズの「ディープダンジョン外伝」のみなづき由宇先生が漫画家としてのルーツ。
・ジャンプでは無く、徳間書店から発行されていた「わんぱくコミック」ばかりを読み漁っていた。
・マンガ家になる夢を父親から茶化されてしまい、ショックを受けた。その件があってからは誰にも自分の夢を言わないようになった。
・人から馬鹿にされても絵を描くことを辞めなかった。こっそりと描き続け、マンガ家になる夢を諦めなかった。
・大学生になるまではちゃんとしたマンガは作っていなく、ノートに絵を描いたり構想を書いたりするぐらいだった。
・大学時代に逃げることを辞め、独自の修行法を編み出した。描きながら気づいたことをバンバン壁に貼っていた。
・大学3年生の就職の時期になり投稿を開始。全然働く気がせず、働けるとも思っていなかったので、全力で原稿の中に逃げた。
・「だんでらいおん」が天下一漫画賞の佳作になり、連載に。担当との最初のやりとりは喧嘩ばかりだった。

・担当にもっと少年マンガっぽいものを書けと言われてだしたのが読み切り作品の「しろくろ」。新撰組のパロディだと感じており、新撰組の要素を脇に置き、今の「銀魂」のような形態に変えていった。
・連載はする気は無く、連載会議で落ちるとの約束で出した「銀魂」が会議に通ってしまい、大ブーイングをした。担当の大西さんも連載を取ったのにブーイングを受けて、あきれたという。
・担当との打ち合わせでは「銀魂」の話が嫌いで、違う刺激を求めて映画とかゲームの話をした。最近は真面目な新人編集が来るので「銀魂」の話もしている。
・読み切りは一回きりなので、またこのキャラに会いたいな、寂しいなと思って貰えるように書いている。
・アニメも実写もマンガとは別物。それぞれのプロの人に任せて口だししないようにしている。

マンガ家を目指す人たちへ

・世の中に自分の好きなことを仕事にしている人は少ない。マンガ家になるというワガママをしたのだから、その苦しんだ分だけマンガを楽しい作品へとしていく。たくさん苦しんで、たくさんいいマンガを描いていく。

技術面

・完璧ではない崩れた部分がキャラの魅力を作る。キャラの内側に欠点や弱点などを持たせることで魅力を持たせる。
・優しいキャラであればあえてやさしくない部分を描くと優しさに奥行きが出る。
・キャラの誰もが何かしら譲れない矜持や信念を持つことで説得力やぶれない芯を持つ事が出来る。信念の内容は間違っても良く、なにか一つそのキャラの持つ美学や価値観でカッコつけたり背伸びしたりする感じが出ればOK。
・キャラはギャップとひっくり返しで魅せていく。
・セリフはキャラらしさを優先。こういう状況に居たら、どういうセリフをこのキャラなら言いそうか一生懸命考える。
・セリフは韻を持たせたり、読んだときに気持ちよさがでるようにしている。声に出したときのリズムの良さを意識すると良い。
・キャラの掛け合いは口げんかのつもりで。平坦な会話より、意見をぶつけあわせたほうが互いのキャラが色濃く出る。
・タイトルにもフック、引っかかりを持たせる。
・冒頭で読者の興味を引き、ルールを提示する。一話完結型が多いので、そういうつかみと導入は大事にしている。冒頭に違和感を持たせ読者の興味を引く展開にしていく。
・オチはキャラを暴れさせた後で考えていく。
・先にがっちり決めてしまうとページ数に気を取られてキャラが小さくまとまりがちになる。
・あまり考えず、キャラにははみ出るくらい暴れてもらい、そこからゴールに向かって最善のオチを考えていく。
・ギャグはギャグ自体では無く、その前が大事。緊張と緩和が大事で、落差で心理を揺さぶる。緊張した状態から、それが解けることによる笑いを。
・ギャップがあるからこそキメが引き立つ。
・それまでの積み重ねがここぞという場面を印象的にする。

DVDより

・体のバランスが崩れないように。服で隠れている部分もイメージしながら描く。
・ペンにはこだわりは無い。そのペンが無いと描けない、という事態を防ぐため。
・仕上げはミリペンで線の太さを調整していく。
・彩色はコピック。
・彩色の順番は決まっておらず、思いつくままに色を塗っていく
・シーンによってパーマのかかり具合が違うかも。シリアスなときは集中しすぎてパーマをかけ忘れることも。
・ジャンプの主人公っぽくない、一歩引いた感じを心がけている。